姉弟ゲンカ_12 ページ34
「そうか。色々聞いて悪かったな」
「弟さん、…優也くんだっけ。
諸伏ちゃんがついてるし心配いらねぇと思うから、桜庭ちゃんもちょっと休んで待ってたらいいんじゃねぇか?」
病室に入ったまま立ち話を続けていた彼ら。
萩原はベッド脇の椅子に視線を向け、ワントーン柔らかい声色でそれに座るようにAを促した。
「そうだな。さっきも言ったがヒロなら大丈夫だ。
アイツにも兄貴がいるし、弟さんも話しやすいかもしれないな」
『…』
なんとなく有無を言わさない雰囲気で、
萩原に軽く肩を掴まれて椅子に押さえ込まれたような状態のAは、降谷の言葉に少しだけ口元を緩めた。
『お兄さんが、いるんですね。諸伏さん」
「あぁ。前に僕も一度会ったことがあって。今は、警…、察官だっていってたな」
警察官という言葉を口にするのに少し躊躇いを見せた降谷。
兄弟の構成上、諸伏が、優也と話がしやすいかもという話だったはずだが、
両親が家族が巻き込まれた事件、兄姉が警察官になったあるいは目指しているということも、似通ったものだったからだ。
『そうなんですね。
姉の私が何も出来ないのは情けないですけど、…諸伏さんの方が話しやすいこともあるかもしれませんね』
当のAは特に気にしていないようで、
弟を心配することしか出来ない自分に自嘲気味な笑みを浮かべていた。
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作者名:white12 | 作成日時:2022年11月2日 20時