サンタクロースに願うのは_2 ページ2
一方。
警察学校寮の一室では、
ベッドに横たわる降谷が、重たいため息を吐き出していた。
品行方正な彼が、
休日とはいえ、目覚めた後もダラダラとベッドから起き上がれない理由はひとつしかなくて。
彼の頭を埋め尽くすのは、昨夜のことだった。
──昨夜。
警察病院で、目暮と木嶋という捜査一課の刑事から松田とともに事情聴取を受けた降谷。
その後、
降谷たちから事情を聞いて険しい表情を浮かべる諸伏と萩原と一緒に、
警察学校寮に帰っていた途中のことだ。
「松田、何で…、黙って見てたんだ」
ふと立ち止まった降谷が、松田に詰め寄るように厳しい視線を向けた。
「は？」
「桜庭さんのことだ。何で、あんな…」
“は”だか、濁点のついた”あ”だか良く分からない苦々しい一文字を不機嫌そうに発した松田に、
険しい表情でさらに問いかける降谷。
Aが男を押さえつけ、
その喉元にナイフを突きつけていたときのことを言っているのだ。
焦る降谷に対し、
松田は、Aたちの少し後ろで、
2人の様子を目を細めて軽く腕を組むようにして見つめているだけだった。
「え…何のことだよ？どうしたんだ？ゼロ」
諸伏は事情が分からず、
萩原を肩に抱えながら焦った様子を見せた。
察するのがやはり得意なのか、
ただならぬ降谷の雰囲気に、萩原はじっとその様子を伺っていて。
「まぁ…いかにも理想的な警察官を目指してるゼロなら、
大事なやつが危ねぇ目に遭いそうになって、
しかも、ずっと腹ん底で同じ目に遭わせてやりてぇって思ってた犯人かもしれねぇ奴を目の前にしても、
冷静に、お行儀よく、拘束できんのかもしれねぇけどよ」
「は…？」
一切包み隠そうとしないあからさまな嫌味を口にした松田。
その言葉に、降谷がぴくりと片眉を歪めた。
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作者名：white12
| 作成日時：2022年11月2日 20時
