検索窓
今日:2 hit、昨日:71 hit、合計:27,158 hit

サンタクロースに願うのは ページ1

『…ありがとうございました』

「いえ…、お礼を言われることはしていません。
むしろ、申し訳…ありませんでした」



翌朝。
頬にガーゼをつけたAは、
優也の病室で木嶋に礼とともに頭を下げていた。



昨夜、優也の病室に入り込んだ男を捕まえた後、軽い事情聴取を受けていたAと優也。
そして、
現場に居合わせた降谷と松田も、同じく刑事から話を聞かれていた。


夜も遅い時間だということで話は最低限で切り上げられ、
今朝、事情聴取と優也の様子を確認するために木嶋が目暮と共に病室を訪ねてきたのだ。




“この防犯ブザー、木嶋さんが持たせてくれたんだ”

Aが優也からそう聞いたのは、昨夜のことだった。
鳴り響いたあの警報音は、防犯ブザーの音だったらしい。


許可をもらい、一晩中優也に付き添っていたA。
昨夜ほとんど眠れていなかった優也は、
今朝早くに睡眠導入剤の助けを借りて、今も眠りについていて。


Aもまた一睡も出来ておらず、
頭に重く鈍い痛みを感じながらも、
優也が無事だったことに、昨夜から何度漏らしたか分からない安堵のため息をついた。





「…本来なら、常に警備を敷いておくべきところではあるのですが、
24時間体制で…というのは、どうにも難しく。
…結果、このようなことになり、本当に申し訳ありませんでした」

昨日顔を合わせたばかりの目暮から頭を下げられ、
複雑な表情でAは小さく首を振った。



もちろん、警察側の落ち度がない訳じゃない。
怒りを覚えて然るべきところではある。
ただ、3年が経過した事件に関わる捜査員はそう多くはないだろうことは、
警察学校生であるAにとって想像に難くないことだった。
長時間警備を敷くというだけで、人員そして経費ともに相当なものだ。

かといって、
実際に優也が危険な目に遭いそうになった事実を受け止められるほど大人でもないAは、


『それで…、あの男のことは何か分かったんですか』


と、険しい顔で本題に切り込んだ。





病院の廊下には折り紙のサンタクロースやトナカイが飾られていて。
しかしAは、
今日がクリスマスイブだなどと考える余裕は微塵もなかった。

サンタクロースに願うのは_2→



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (72 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
163人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:white12 | 作成日時:2022年11月2日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。