綺麗ごと_4 ページ32
“悔しい”
そんな、分かりやすい感情がそのまま彼女の口から出てくるとは思っていなかった諸伏は、
その感情をそのまま受け取ったかのような顔をして、両の奥歯を強く噛み締めた。
「桜庭。お前、それで良いのかよ」
『え?』
「…何も出来ねぇかなんて、やってみねぇと分かんねぇだろーが」
チッ。
と、何度も聞いたような舌打ちを溢し、
松田はAの背に佇む斉木の家を睨み付けていた。
そして、苛立ちをあらわにしたような顔で一歩踏み出そうとした彼の腕を、Aが掴んだ。
「は?」
『…』
眉間にシワを寄せてじっと松田を見つめるA。
降谷は、苦しげに表情を歪めつつ松田のもう一方の腕を軽く掴み、
その横で、諸伏が松田を落ち着かせようと困った顔を浮かべていた。
『…今、何かをするのは、多分得策ではないと思います』
「は…?」
『詳しいことは分かりません。
でも、捜査一課の刑事が今このタイミングで斉木さんの家に来たということは、
3年前の…あの事件に関係しているんだと、思います』
「「「…」」」
『私の話を少しでも信用してくれたのかは分かりませんが、
…あの男に事情聴取にでも来たのだとすれば、
今、”警察学校生”で、
”事件の当事者”の私が問題を起こすのは、
…捜査の進展を、…妨げるかもしれないでしょう』
Aは、
俯きながら、自分に言い聞かせるように重い口調でそう口にした。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また,体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが,引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます!これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています! (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2022年8月4日 18時