綺麗ごと ページ29
もと来た道を戻っていたAは、
しばらくしてその足を止めた。
パチパチとまばたきをする彼女の前、
正確にはやや斜め横の路地には、見慣れた人物たちの姿があって。
「…何をしていたんだ?こんなところで」
Aの背中越しに見える目暮たちを気にしているのか、
小声で問いかけたのは降谷だった。
眉間にシワを寄せ、そのまま彼らがひそんでいた様子の路地の方へ入り込んだA。
そうして、
『…それは、こちらのセリフです』
と、静かに彼らを見据えた。
ここまでついてきた降谷たちは、
やはりAが斉木を尾行していること、到着した先がおそらく斉木の実家だろうことを理解したものの、
彼女と話していた2人の男のことは知らない訳で。
会話の内容が聞き取れた訳でもない。
「あー…、その、駅の近くで桜庭さんを見かけて…さ。
誰かを尾行してるようなそんな雰囲気だったから…、気になって...」
『…』
降谷の代わりというように、
少し気まずそうに諸伏がそれに答えた。
「あれって、斉木の…実家?
尾けてたのは、何か…理由があるんじゃないのか…?」
Aは、彼の質問に答えず、
黙ったままでこちらを見つめている松田の顔にちらりと視線を向けた。
斉木の兄のこと、
まとまりのない推測を松田には話している。
おそらく、
松田は、何故自分がここにいるのかを想像出来ているはずだ。
そして、仲の良さそうな降谷や諸伏には何も話していないのだろうと言うことを、
Aは理解した。
面白おかしく話せる話題でもなく、
それは特に不思議なことでもなかったが、
以前、彼らと距離を置こうと試みた際、
目の前にいる諸伏や萩原が、
“たぶん、心配するようなことはないはずだ”と言っていたことを何となく思い出していた。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また,体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが,引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます!これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています! (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2022年8月4日 18時