クリスマスのざわめきの中で_9 ページ28
斉木の兄のことは、
片山とともに優也の病室に来たときに木嶋に話している。同じ捜査一課なら、目暮にも、話が伝わっていてもおかしくない。
刑事はおおかた2人一組で動くものだ。
病室で2度顔を合わせた木嶋は片山と一緒に行動していたようだが、
捜査の都合やら何やらでバディ相手が変わることは特に珍しいことではないはず。
警察学校生であるAはそのくらいの知識は持ち合わせていて。
意図を探るように、少しの苛立ちを混じえてじっと目の前の男たちを見つめるA。
「警察学校生のキミが踏み込んでいい話じゃない。
…そうでなくても、キミは、当事者だからな」
目暮はなにやら含みのある表情で、語気を強めた。
「警察学校で、習っているはずだ」
そう付け加えられた言葉は、数日前に永倉からも聞いたもので。
キリ、と再び奥歯を噛みしめ、
Aは思わず、
『3年も…、経っているのに』
と、消え入りそうな声で呟いた。
それは、警察への不信感や、
捜査が未だ進展しないことへの苛立ち、
この家の中にあの男がいるのに、
自分の感覚と推測はもしかしたら正しいかもしれないのに、
何もできない焦燥感が雪崩のように押し寄せて漏れ出た、か細い悲鳴だった。
目暮は何も言わず、
後ろの木嶋もまた口を閉ざしたまま、
2人は複雑そうに眉を寄せていて。
それでも、
このタイミングで捜査一課の刑事がここに来たことは、
そして彼らが"斉木の兄"のことを口にしたことは、
おそらく、Aが抱く”推察”が彼らの捜査の一端と一致しているということで。
何より、
目の前の目暮という男は、
"我々の仕事"だと、そう言ったのだ。
Aはコクリと唾を飲み込んで強く瞬きをすると、
表情を鋭くしたままで目暮と木嶋に小さく頭を下げて、元来た道に踵を返した。
背中越しに、さっきも聞いた深みのあるインターホンの音が響いていた。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また，体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが，引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (
レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます！これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています！ (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2022年8月4日 18時
