クリスマスのざわめきの中で_8 ページ27
「これは、我々の仕事です」
『…』
自分の手首を掴んでいたのは、見知らぬ男性だった。
目線は、自身と同じくらいか少しだけ高いくらいの、小柄な男。
訝しげに見つめたAは、彼が刑事だと言うことをすぐに認識した。
男のすぐ後ろに、
捜査一課の木嶋が立っていたからだ。
安堵した訳じゃない。
しかし、はぁっ…と大きく息を漏らし、肩を脱力させたA。
息を止めて奥歯を噛みしめ続けていたことに気づいたようで、
Aは小刻みに肩を上下させながら、木嶋ともう一人の男をじっと見つめた。
近づいてきたことにも気づいていなかったほどに、思考はただ1つのことで埋め尽くされていたらしい、と、少し冷静になる頭で考えていたA。
その目の前で、
男はゆっくりと彼女から手を離し、
「失礼。捜査一課の目暮です」
と名乗り、慣れた手つきで警察手帳を取り出した。
片山よりも少し若く、木嶋よりも少し年上に見えるその男と話すのはおそらく初めてで。
3年前に事情聴取を受けた際に警視庁を何度か訪れたとき、
見かけたことがあるような、程度のおぼろげな記憶を辿りながら、
Aは、目暮と名乗った男を訝しげに見つめた。
「ここへは何か用事でも?」
少しわざとらしくも感じる目暮の問いに、Aは何も答えなかった。
木嶋は黙っているだけで、先ほどのAのように、目の前の一軒家を見上げていた。
「斉木晴人さんとは警察学校の同期だそうですね。
斉木さん…、の”お兄さん”に用事でもありましたか」
『…』
言葉を発さないままで、小さく目を見開いたA。
そして、そのまま目暮を睨みつけるように目を細め、その後ろの木嶋に視線を移した。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また,体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが,引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます!これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています! (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2022年8月4日 18時