慣れない呼び名_7 ページ13
「用事…とか言ってたけど、もう終わったのか?」
『あ、…はい』
道着姿のままの彼女を少し不思議そうにちらりと見つめる降谷の横で、
萩原が、先ほどの会話を思い出してAに問うた。
「そっか。そのままじゃ風邪引くかもしれねぇから、...気ぃつけろよ?」
「確かに。ずいぶん寒くなってきたから、な」
用事だのとAの事情は知らないものの、
萩原の言葉を引き継ぐようにして、軽い苦笑いのような笑みをAに向けた降谷。
タイミング良く吹いた強い風は、相当冷たいもので。
Aは思わず身を固くして、目を細めた。
「んじゃ、またな。桜庭ちゃん」
片手を上げて去っていく萩原と、
挨拶のつもりか、降谷はAに向けて分かりやすく口元をニッと引き延ばして萩原に続いて歩いて行った。
"桜庭ちゃん"
Aは、
慣れることは無さそうなその呼び名にむず痒い感覚を覚えながらも、
ふぅと吐き出した本日何度目かのため息は、少し柔らかいものになっていることを自覚して。
2人を見つめてほんの少し口元を緩めながら、
寒さを改めて実感したのかふるっと肩を震わせて、
今度こそ足早に寮へと戻って行ったのだった。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また,体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが,引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます!これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています! (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2022年8月4日 18時