くだらないこと_5 ページ2
『え…?』
「あ、…いや…」
ふと、困った表情で瞬きをするAに、
松田は、少し焦ったように軽く首を振って言葉を撤収するような素振りを見せた。
「…そ、それより...、アンタ、これから病院行くとこだったんじゃねぇの?」
『あ...』
「昼間...、言ってただろ。弟、目ぇ覚めたんだろ?」
昼休みに聞いた、優也が目覚めたという話から、
松田は、Aがこの時間に警察学校にいるとは思っていなかった訳で。
呼び止められただけでなく、
まさか、わざわざ走って自分に謝りにきたなどとは到底思っていなくて。
つい口をついて出た本音のような言葉を誤魔化すように、
とっさに話を切り替えてAに問いかけた松田。
「…なんつーか、...捜査、ちっとでも進展あると良いな」
『あ、ありがとう...ございます』
Aは小さく答え、奥歯を噛み締めた。
ズカズカと踏み込むでもなく、
無条件に肯定する訳でもない松田の言葉。
Aにとってはそんな彼の言葉は、やっぱり、何故か無条件に身体に染み込んでくるもので。
もう少し笑えという言葉は、いまいち理解出来なかったものの、
Aはお礼とともに軽く頭を下げると、
足早に警察病院へと向かったのだった。
直後にこぼされた松田の苦くて柔らかい複雑なため息は、
Aの耳に入ることは、なかった。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また,体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが,引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます!これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています! (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2022年8月4日 18時