不確かで確かなもの_2 ページ4
「…ただ、様々な目撃者や関係者への聞き込み、その時に感じた印象や、証言に対する違和感、
容疑者と対話して感じたことなど、
ハッキリとは言えない何かが…、重要な証拠とつながっていることもある」
『…』
「ただし──、
これはもちろん、経験を積み重ねてこそとも言えるものだ。
恣意的な感情に基づいて捜査することは決してあってはならない」
ふと、似たことを話した松田との会話を思い出したA。
恣意的な感情に振り回されず、信憑性の低い話に憶測を交えて疑うのではなく、
正しく”見る”こと。
それが一番重要だということは、理解していて。
それでも、自分の中の”ハッキリとは言えない何か”が訴えているような感覚は、消せなくて。
Aは唇をモゴモゴと小さく歪めて、眉間に小さなシワを寄せた。
そして、
「…しかしながら、推理とは、実際はある種の感覚に基づく場合も多い。
現場のどこに着目し、何と結びつけ、どのように捜査を進めていくか。
矛盾しているようではあるが、
感覚を研ぎ澄ませることで、目撃者の嘘を見抜いたり、
防犯カメラや目撃証言から見えてこなかった事実が浮かび上がることもあるということ、
自分の感覚を信用することも時には必要な場合もある、とだけ伝えておく」
と、講義の最後を締めるような話に、ハッと小さく目を見開き、
固まったように瞬きをせず、教壇を見つめたA。
「起立!!──永倉教官に、礼!!」
講義終わりの、
キビキビした挨拶に無意識に反応する身体とはうらはらに、
当番が発する大きな声は、ほとんど耳に入っては来なかった。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また,体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが,引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます!これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています! (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2022年8月4日 18時