知らない顔の幼なじみ_3 ページ33
ここから南杯戸までは少し距離がある。
ましてや、商店街やビルに囲まれたここから見える場所であるはずもないのだが、
南杯戸の方向を向いてポツリと言葉をこぼした松田に、
萩原はもう一度目を見開いた。
もう何年来の付き合いか。
20年近く一緒にいる幼なじみで、唯一無二の親友の松田。
傍若無人っぷりは筋金入りで、未だ少年のような破天荒な男が、
こんな、どこか切なげでアンニュイな表情を見せる人物だとは思いもよらなくて。
昔、自分の姉に恋心を抱いていた親友は、
いわゆる、好きな相手には意地悪したくなるという典型的に不器用なヤツだったはずなのだが、
幼なじみの知らない顔を見たようで、少し複雑そうに、小さな笑みを浮かべた萩原。
そうして、良く考えてみれば、
アクセル全開で、嫌いだのムカつくだのと最低な言葉をぶつけたらしい一件があったものの、
斉木とのことも、降谷に止められたからとはいえ、苛立ちを拳で解消するようなこともせず、
どこかAを慮っているようなそぶりも見せていた。
そしてそれは、彼女が過去について吐露する前の話で。
父親のことと重ね合わせて、
苛立ちを含めた複雑な感情なのだろうと松田のことを少し心配していた萩原だが、
松田にしては随分とあれこれと悩んでいた様子を思い出し、
別に今更驚くことでもないのかと、そんな気持ちも湧いていた。
「何だよ。お前から聞いといて急に黙り込まれっと気持ち悪ぃだろうが」
「ん？」
「別に、あれこれ調べたって訳じゃねぇよ。
前に資料室でちっと調べて知ってただけで、思い出しただけっつーか…」
「心配なんだろ？」
「は？」
言い訳のように、ブツブツと話していた松田は、
萩原にいつものような少々いかついしかめっ面を向けた。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 本作をお読み頂き，コメントまで頂きありがとうございます。作品を好きだと言って頂き，本当に嬉しいです。お騒がせしてしまい申し訳ありません。作品を楽しんで下さっている方が1人でもいらっしゃることに，感謝しかありません。引き続きお楽しみ頂ければ嬉しいです。 (2022年7月5日 12時) (
レス) id: 35753a7d46 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり(プロフ) - 続編おめでとうございます！更新をいつも楽しみにしています。何だか大変だったみたいですが...。色々な方もいると思いますが、とても好きな作品なので、これからも応援しています！ (2022年7月4日 22時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2022年7月3日 18時
