声を聞くのは_4 ページ26
『…事情聴取とか、メディアに騒がれたりとか、
色々あったので、…そのことは特に深く覚えていなかったというか、
事件と関係があるとかそういう風に深く考えていた訳ではないんです。
ただ、…この間、似たようなものを見てしまって、あれこれ考えてしまって…』
「事件の日にぶつかったその男…、2人組の男ってヤツが犯人で、
もしかするとそれが、この間斉木が話していた奴かもしれねぇ...ってことか？」
松田は、特に言葉を選ぶこともなくストレートにAに問うた。
様子がおかしかったことも踏まえれば、考えられる可能性はそういうことで。
Aは、相変わらず軽く俯いたまま松田を見ることなく、
一瞬固まった後、小さく頷いた。
『…斉木さんのお兄さんだそうです』
「は…？」
『昨日、彼に聞いたらそう言っていました』
「アイツの兄貴か…」
斉木には良い印象は全く持ち合わせていない松田は、
その兄にも伝播させたように、少し渋い顔をした。
『大学を出てから、アメリカに行っていたそうなんです。…3年前に』
「3年前…」
『あの事件があったのは、3年前の4月16日です。
大学を出てからアメリカに、というのがいつのことかは詳しく分かりませんが…』
奇しくも事件があった頃と一致するような話。
Aがあれこれ考えてしまうのを助長した1つの事実なのだろうと、
片眉を歪めて軽く頭を掻くような仕草をした松田。
そうして、少し押し黙った後、
タバコの紫煙でも吐き出しているかのような細く長いため息を吐いた。
「──俺はな、警察が大っ嫌いなんだよ」
『…は？』
突如隣から聞こえてきた不機嫌そうな声。
俯いて話を続けていたAが、驚いて思わず彼の顔をじっと見つめた。
松田は、Aとまともに目を合わせることはせず、
膝の上で軽く両手を組んで、続けて口を開いた。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 本作をお読み頂き，コメントまで頂きありがとうございます。作品を好きだと言って頂き，本当に嬉しいです。お騒がせしてしまい申し訳ありません。作品を楽しんで下さっている方が1人でもいらっしゃることに，感謝しかありません。引き続きお楽しみ頂ければ嬉しいです。 (2022年7月5日 12時) (
レス) id: 35753a7d46 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり(プロフ) - 続編おめでとうございます！更新をいつも楽しみにしています。何だか大変だったみたいですが...。色々な方もいると思いますが、とても好きな作品なので、これからも応援しています！ (2022年7月4日 22時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2022年7月3日 18時
