帰り道とクラクション_2 ページ18
『降谷さんや諸伏さん...たちは、どの交番に配属になったんですか?』
「あー。アイツらは確か、沢袋の方と緑台だったか。
あ、諸伏は米花町の方だとか言ってた気もすんな」
『へぇ…。みなさんバラバラなんですね』
松田が、萩原と良く一緒にいるのは知っているのだが、彼の名前は少しおぼろげで。
沈黙というのもいささか居心地が悪く、
他愛もないことを話しながら駅までの道を歩いていくA。
「そういやアンタ。
高いとこ、苦手なんだってな?」
『え…』
「諸伏から聞いた」
『あ…、そうなんですね。
お恥ずかしい話ですけど...苦手なんです』
どことなく気怠そうにのんびりと歩く松田に急にそんなことを言われ、
Aは複雑な顔を浮かべていた。
それを知られるのが、というよりは、
しがみつくようにして、
松田と屋上から飛び降りたあの日のことを思い出したからだ。
「そうか。…にしては、あん時、けっこう楽しそうにも見えたけどな?
怖かったとか言いながら笑ってたしよ」
『そ、それは…』
「ん?」
口籠るAに視線を落とし、
少し面白そうに唇を引き伸ばした松田。
『なんていうか、飛び降りたなんて初めてだったし、
…それに──』
「それに?」
『降谷さん、…前に、私のことを"やんちゃだ"とか言ったんですけど、降谷さんも相当っていうか。
なんだかそれがちょっとおかしくて。
松田さんは…、意外って訳じゃないですけど』
「…どういう意味だよ」
前を向いたまま、言葉を選ぶようにして口にしたAに、
ずいっと松田が詰め寄るように仏頂面を浮かべた。
「アンタも人の事言えねぇだろうが」
『まぁ、それは…否定しませんけど』
フッと笑いをこぼした松田。
つられるようにAがクスッと小さく笑うと、松田は柔らかく目を細めた。
192人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
white12(プロフ) - さゆりさん» 本作をお読み頂き,コメントまで頂きありがとうございます。作品を好きだと言って頂き,本当に嬉しいです。お騒がせしてしまい申し訳ありません。作品を楽しんで下さっている方が1人でもいらっしゃることに,感謝しかありません。引き続きお楽しみ頂ければ嬉しいです。 (2022年7月5日 12時) (レス) id: 35753a7d46 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新をいつも楽しみにしています。何だか大変だったみたいですが...。色々な方もいると思いますが、とても好きな作品なので、これからも応援しています! (2022年7月4日 22時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:white12 | 作成日時:2022年7月3日 18時