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理由_8 ページ8

「…消え、た」

「うん」

「魂の行先?多少の力というのはどういう、ことだ。
…死ぬはずだった僕を、助けた…とでもいうのか」


思わず手を当てた腹部。
傷跡は残っている。
確実に被弾したはずで。
流れ出た血の量や、呼吸が上手く出来ない感覚も、覚えていた。


「死を迎えた人間を生き返らせるなんて芸当は、僕らには出来ないよ。
ただ、肉体から離れかけた魂に、ほんの少し力を与えるくらいは彼女にも出来たんじゃないかな」

「...」


「っていっても、やっぱり、"生き返らせる力がある"ってことじゃない。
結局はキミ自身の生命力ってことかもしれないし、助けたというのかはわからない。
…彼女が何を考えていたのか、…その意思があったのかも」


消えた。
そう口にした礼央は、
何もわかるはずがないとでも言わんばかりに小さく笑った。


「こんなことなら、早めに担当エリアを変えてもらうようにした方が良かったかな」

「...」

「でも、なんかちょっと、
キミの話を聞いた時...嬉しそうにも見えたんだよね。
眩しそう、っていうかさ。
良く分からないけど」




そして、

「――…1000、人」


「え?」


不可解そうに目を細めていた降谷の口から、
ふと溢れた言葉。


それに驚いたのは、礼央だけではなく声の主も同じで。


しかし、

「…確か、その手伝いとやらには、
…期限があったんじゃ、ないのか」


と、降谷は続けて口を開いた。


うまく思いだせないそれは、
本能に従って口から溢れた記憶のようだった。


「…そういう話は、覚えてるんだね」

「…」

「記憶力?生命力…?...とも違うかな。
いずれにしても、随分有能な人間なのかな。キミは」


じっと興味深そうに降谷を見つめる礼央は、
少し口をつぐんだ後、


「まぁ、もう少し…だったんだけどね」


と笑った。




「キミがどこまで知っていたかは知らないけど。
その記憶は正しいんじゃないかな。確かに、そういう約束だったから」

「…約束」

「僕が決めたわけじゃないけどね」

「…」

「あと6人、ってところまで来てたはずなんだよね。
…本当、このエリアは物騒だよね」



皮肉めいた言葉とともに、フッと笑った礼央。
降谷は、唇を軽く噛み締めて記憶を探っていた。

“半日、――実体を貰える”

そんな、オカルトめいたワードが、
彼の頭の隅に残っていた。

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white12(プロフ) - 桜咲さん» 温かいコメント、ありがとうございます!ご心配・ご迷惑おかけしてしまい申し訳ありません...。お楽しみ頂けていたら嬉しい限りです。本作品をお読み頂き、本当にありがとうございました!次回作は全くの未定ですが、その際はお付き合い頂けたら嬉しいです。 (2022年2月12日 19時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - reさん» お読み頂きありがとうございます!随分放置してしまっていたのに、そんな風に言って頂けて本当に嬉しいです。素敵な作品を沢山書かれているreさんに嬉しいコメントを頂いて恐れ多い限りですが、もしまた執筆することがありましたらお手に取って頂けたら嬉しいです。 (2022年2月11日 10時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
桜咲 - 完結おめでとうございます! 更新止まっていて心配していました。体調大丈夫でしょうか...。凄く素敵な作品をありがとうございます!景色もそうですが、心理描写が凄く綺麗で引き込まれました。新作が出たらまた読ませて頂きます!! (2022年2月10日 21時) (レス) id: 8613f618c9 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 更新、本当に嬉しいです。そして完結おめでとうございます!文章がとても綺麗で繊細で、大好きです。切ないけれど胸が暖かくなるようなお話で、今回もとても素敵でした。寒い日が続きますが、ご自愛ください。新しい作品も楽しみにしています。 (2022年2月10日 13時) (レス) @page21 id: f0490f49ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年10月13日 23時

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