検索窓
今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:12,068 hit

理由_2 ページ2

――

「随分うまくやったわね」


それは、1週間前。
降谷の心拍数を一気に引き上げた声だった。


黒の組織の幹部たちを追い詰めたあの現場で、
その声に振り向いた瞬間、
バーボンの目に映り込んだのは見知らぬ女性の姿だった。

そして――


パ――ン…ッ

それと同時に耳をつんざいた発砲音。
とっさに銃を構えながら身を捩らせるも、
それは一歩間に合わず。



「…貴方は逃がさないわよ。バーボン」

「やはり…一番手がかかるだろうとは思っていましたが…」


そのまま、ズルリと地面に倒れ込んだ視線の先の女。
足と肩、そして、その頬からは赤い血が流れ出していて。
何かが捲れたような頬とその声から、バーボンは、
女がベルモットであることを瞬時に理解していた。



彼がNOCであることを、
ベルモットはやはり疑い続けていたのだ。
そして、”バーボンがNOCだった”ことは、
組織を完全に壊滅させるまでは知られてはならない事実。

何かしら、調べられていた可能性があったとしても、
公安やFBIと合流する様子など、決して見られてはならない。

被弾した腹部に手を当てたバーボンは、
周囲を警戒しながらその場から逃げるように身を隠したのだった。



――


「…撃たれた、はず」


おそらく急所を撃たれたことも、
ぬるりとした自分の血の感触も、
意識が遠のく感覚も、降谷は覚えていた。



あの時、
――誰かに会ったような記憶も。



降谷が目覚めたのは、あの日の夜中。
警察病院のベッドだった。

現場に倒れていたところを風見に発見され、
すぐに病院に運び込まれたと知らされた。
腹部には被弾した痕跡があったが、急所は外れていて、
手術後暫くして、問題なく目を覚ましたのだった。




不可解な感覚を覚え、
コートの下のまだ傷跡の残る腹部をさすりながら、降谷はゆっくり辺りを見回した。



今日は随分と天気が良くて。
吸い込まれそうなその蒼に、デジャブのようにポツポツと頭に浮かびそうになる何か。


その奇妙な感覚にも、降谷は覚えがあった。


何となく柵の近くまで歩き、
ふと、掌で触れたその金属はキンと冷たい温度を返した。


知っているようで良く分からない感覚に、
ベンチの方を振り向き――


「…!」


降谷はハッと目を開いた。

理由_3→←理由



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (53 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
55人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

white12(プロフ) - 桜咲さん» 温かいコメント、ありがとうございます!ご心配・ご迷惑おかけしてしまい申し訳ありません...。お楽しみ頂けていたら嬉しい限りです。本作品をお読み頂き、本当にありがとうございました!次回作は全くの未定ですが、その際はお付き合い頂けたら嬉しいです。 (2022年2月12日 19時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - reさん» お読み頂きありがとうございます!随分放置してしまっていたのに、そんな風に言って頂けて本当に嬉しいです。素敵な作品を沢山書かれているreさんに嬉しいコメントを頂いて恐れ多い限りですが、もしまた執筆することがありましたらお手に取って頂けたら嬉しいです。 (2022年2月11日 10時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
桜咲 - 完結おめでとうございます! 更新止まっていて心配していました。体調大丈夫でしょうか...。凄く素敵な作品をありがとうございます!景色もそうですが、心理描写が凄く綺麗で引き込まれました。新作が出たらまた読ませて頂きます!! (2022年2月10日 21時) (レス) id: 8613f618c9 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 更新、本当に嬉しいです。そして完結おめでとうございます!文章がとても綺麗で繊細で、大好きです。切ないけれど胸が暖かくなるようなお話で、今回もとても素敵でした。寒い日が続きますが、ご自愛ください。新しい作品も楽しみにしています。 (2022年2月10日 13時) (レス) @page21 id: f0490f49ba (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:white12 | 作成日時:2021年10月13日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。