繋がり_4 ページ9
そして――。
「…」
降り注ぐ雨をワイパーで掻き分け、
RX-7のフロントガラスの先を見つめる降谷。
行き先――、いや、戻る先は警察庁だ。
フロントガラスの水滴は、目の前の赤信号を滲ませて綺麗な赤に染まっていた。
「ん?――…あれは」
陽も落ちてただでさえ薄暗く、雨のせいで視界が悪い中で、
目に留めるには充分な光景を視界の端に捉えた降谷は、
信号が変わるとともにハンドルを切った。
向かう先の路地に、その人物は立っていて。
路地の脇に止まるRX-7のブレーキ音も、
ドアの開閉音すらも雨の音に容易にかき消され、
降谷は傘も差さずにそこに近づいた。
「…仕事か?」
『…』
背中越しにかけられた声には、
”いつものように”気づかないのか、
ただ、雨の音にかき消されただけなのか。
地面を見下ろすようにして背中を見せるその人物は、
振り向くことは無くて。
白いカーディガンにインディゴブルーのジーンズ。
スニーカーのような靴を履き、
肩ほどまでの髪を後ろに纏めた女性。
それは、
12月の冷たい雨の中、
濡れた様子もなく路地に立ち尽くす、Aだった。
そして、
彼女の足元には、
胸を赤く染めて地面に横たわる青年の姿。
その周りには、
落ちてくる雨と街灯の光と混じり合った鈍い色が、
滲み始めていた。
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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが,引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは!この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます! (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2021年9月19日 8時