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対象者_4 ページ43

『…っ――』


目の前の降谷は、
浅い呼吸を繰り返しながら、
今にもその目蓋を閉じかけていて、Aは焦ったように小さな息を飲み込んだ。



“――さん!!どこに――…”



小さな声が聞こえ、辺りを見回したA。
それを発しているのが彼の耳に当てられたインカムだと気づき、
手を伸ばそうとするも、やはりそれを掴むことは出来なくて。



返答すべき人物は、もはや小さくなる呼吸を繰り返すだけで、
もたれかかったその体躯は、さらに小さく折り曲げられようとしていた。



『…やらなきゃいけないことがあるんじゃないの――』

「…」

『死ぬ訳にはいかないって…』



“まだやらなければならないことが、僕にはあるからな”

“それに、命に換えても守らなければならないものがある。
そう簡単に死ぬ訳にはいかないさ”


そんなことを言っていた彼の声を思い出していたA。

そういえば、名前も分かっていなかった。
関わりのある人物というわけじゃない。

自分のことを話してしまったとはいえ、
Aにとっては、ただの、今日の仕事の対象者だ。



それでも――

その対象者であるということが、

彼はまだ”やらなければならないことがある”人物なのだろうことを物語っていた。
肉体から少しずつ離れようとしている彼の魂を感じ、
Aは強く唇を噛み締めた。





遠くから、いくつかの足音が聞こえた気がした。

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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが,引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは!この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます! (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年9月19日 8時

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