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対象者_2 ページ41

『...この辺り、か』


米花町の外れにある廃ビル。
ゆっくり周囲を見回しながら現れたのはAだ。

数分前まで夕暮れに染まっていた空は、紫色を帯び始めていて。



本日最後の仕事に来た彼女は、
人気のない路地に視線を彷徨わせた。


『資料、結局貰えなかったなぁ』


ピラリ、と手元の紙を見つめると、
そこにはいつも添えられている写真はなくて。
時間と場所、名前や性別は分かるとはいえ、
少し困った顔を浮かべながらキョロキョロと歩き出したA。



『えーっと…』



ゆっくり路地先を曲がったAの目に、
どこか見慣れた姿が映り込んだ。

薄暗くなった空間に淡く光が差したような、金色の髪。
すらりとしたモデルのような後ろ姿。



『…なんか、仕事中に良く会うなぁ』


何かをしているのか、
路地の壁にもたれかかっていているその人物は、Aが何度も顔を合わせた人物で。
後ろ姿であっても、もう認識できる程で。

何故か仕事の度によく現れる彼にまたも出会したことに、
Aは小さなため息をついた。



『やっぱり警察の人なんじゃないかと思うんだけど…』


そう言いながら、特に話しかけるつもりもなく、
ただ、資料に書かれた人物を探そうと降谷のいる方へ近づいたAは――


『え…』



あと数歩で彼の視界に入るだろうところで、
ピタリとその足を止めた。


『…』


手元の資料と降谷の後ろ姿を見比べるA。


『フルヤ…、レイ』

「…」


その声に顔だけを動かすようにしてゆっくり振り向いた降谷は、
大きく眉を寄せていて。

その手に握られていた銃が、
カチャ、と小さな音を立てた。

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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが,引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは!この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます! (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年9月19日 8時

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