どんよりとした雲と奇妙な感覚_5 ページ5
「…彼女は?」
『は…?』
病院のエントランス。
自動ドアを出た先で降谷が低い声を漏らした。
院内に入る人たちの声に紛れ、
その独り言は何ら不審に見られることもなくて。
聞く必要があるのかも分からないその問いを口にした降谷。
「雪村香奈。前にもあの病室にいただろ」
『…聞きたいことがあるならまた今度って、さっき言ったはず…だけど』
「…」
威圧感を纏った以前の尋問のような問いとは違うトーンだった。
まるでただの独り言とでも捉えられるような降谷の声と、
一歩距離を詰めて特に追求するでもない隣に立つ彼の姿に、
Aは少し黙り込んだ後、
『…別に。時々、来てるだけ』
と、ポツリと返事をした。
“じゃあ、…ちょっと急ぐから”
そう言って降谷を見ることなく歩いていくA。
降谷は、どんよりと広がる雲がその黒を濃くしていく様子を見て、
「…ひと雨来そうだな。僕も早く戻るか」
と、しばしの寄り道を終え、愛車に乗り込んだのだった。
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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが,引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは!この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます! (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2021年9月19日 8時