蠢く黒 ページ38
それから数日が経った夜。
「とっくに準備出来てるよ」
降谷――、もとい、バーボンのインカムに少しガサツな声が響いた。
「バーボンとベルモット が指定の場所に現れるまで待機しろ」
「分かってるよ。でも早くしないと撃っちまうかもね。
アタイもコルンも待たされるのは得意じゃないんだ」
気持ちが昂っているような声の主は、組織のスナイパー、キャンティだ。
「警備の防犯カメラには別の映像が流れています。
とはいえ、あまり目立ったことは避けて下さい。
侵入が難しくなりますので」
続けてインカムに響いたのは静かなバーボンの声。
「チッ。分かってるよ」
キャンティの苛立った声がメンバーの耳に響く頭上では月が雲に隠れ始め、
とある警備会社のビルの裏手に闇が降りた。
そして――
ドサッ、という音とともに2人のガードマンが地面に伏せたのはその直後のことだった。
「例のPCからデータを抜き取りました」
「今からズラかるわ」
抜き取ったICカードで侵入したオフィスで、
いくつかのデータを抜き取ったバーボンは、周囲を警戒している変装済みのベルモットとともに、
裏口へと戻った。
「…」
そこには、
つい先ほど、キールとコルンによってほぼ同時に射殺されたガードマン達の姿。
事前の情報収集は完璧だ。
この辺りは、今の時間帯は人通りが非常に少なく、
防犯カメラの映像がなければしばらく気づかれることはないだろうことは分かっていた。
おそらく、彼らが息絶えた後すぐさま現れたであろう、
目の前の彼女以外には。
胸部に鈍い色が滲んだ警備服。
それに身を包んだ地面に伏せた2人の男を、見下ろすようにして、
Aが佇んでいた。
“どうして、人は人を殺すのかなぁ”
バーボンは、以前耳にしたその言葉をふと思い出していた。
「何ぼんやりしてるの?早く行くわよ」
「えぇ。分かっていますよ」
組織が動く。
その計画が進むことは、降谷零――、いや、公安警察の計画が進むことと同義でもあった。
降谷は、覚悟を改めるように軽く唇を噛み、ベルモットと共にその場を足早に離れた。
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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが,引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは!この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます! (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2021年9月19日 8時