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独り言_3 ページ36

『え?』

「君に、ある男のことを聞いたのは、...ただの気まぐれだ」

『気まぐれ...』

「会いたいと思う奴はいるが、死んでしまった人間にはもう会えない。
会いたいとどんなに願ったところで、それは無理な話だ。
君のことが見える理屈もそうだが、死んでしまった人間に会える理屈は、
...僕には全く理解できないしな」

『…』

「…死後の世界とやらもそうだ。
仮にそこでアイツに、…アイツらに会えるとしても、
僕がそんなことに興味をもつのは、まだ何十年も先で良い」


ふと戻ってきた降谷の視線は力強くて。
思わず目を逸らしたAは、ゆっくり瞬きをして彼と向き合った。
前に聞かれた人物は1人の男の特徴だったが、
彼には複数そういった人間がいるのだろうか、とぼんやりと考えていた。


「まだやらなければならないことが、僕にはあるからな」

『…』

「それに、命に換えても守らなければならないものがある。
そう簡単に死ぬ訳にはいかないさ」


言い聞かせるような、深みのあるトーンでそう口にした降谷。
そして――


「…え――」

『…』



ふと眉を寄せた彼の目に映ったのは、
Aの潤んだ両の目だった。


「どうか、したのか」

『え?』


聞かれるまで自身の目が滲みかけていることに気づかなかった様子のAは、
パチパチと瞬きを繰り返し、パッと指先でそれを拭った。


『な、…なんでもない』

「…」

『何か、…良く、分からないけど、勝手に出てきただけ…だから』


スン、と小さく鼻をすすって、ゆっくり深呼吸をしたA。
降谷は、


「”自称”とはいえ、
…死んでいる人間にこんな話をするのは少々不謹慎だったかもな」


と、柔らかい皮肉まじりの言葉をこぼした。

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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが,引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは!この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます! (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年9月19日 8時

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