独り言 ページ34
もうそこにはいないだろうとも思っていた Aは、
柵から少し移動して、ベンチに静かに腰掛けていた。
『…』
こぼれ落ちていた涙は――、
もう止まっている様子だ。
「…」
降谷が近づくと、冷たく静かな空気の中に、
靴底のかすれる音が微かに響いた。
『…あれ』
その存在ゆえか、
誰かの声や音にはさほど反応しない様子にもかかわらず、
しかし、降谷のそれは違うのか。
Aは、視界に入って来たスラリと長い足に、その持ち主の顔を見上げた。
「まだ、ここにいたのか」
『何か用？…私、やっぱり尾行されているとか？』
冗談なのか否か。
困ったようにほんの少し眉を垂れて、そう問いかけるAに何も答えず、
彼女から人1人分ほど開けたベンチに端に無造作に腰掛けた降谷。
「まだここで、仕事があるのか？」
『…別に』
「…」
『どうしてか分からないけど…、
何となく、まだここにいたいなぁって...思っただけ』
そう言って、
幼い子供のように、地面スレスレに着いていた両足を軽く揺らしたA。
降谷はどうしてそれを問うたのか、
どうして思わず腰掛けたのか、その理由を探すでもなく、
相変わらずぼんやりとした思考を持て余すようにして、
静かに口を噤んでいた。
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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが，引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (
レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは！この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます！ (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2021年9月19日 8時
