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吸い込まれそうな蒼_4 ページ29

微かに見えたAの背中を追って辿り着いたのは、屋上だった。


全てをその蒼で包み込むような空の下、相変わらず冷たい空気が吹き付けて、
コートの下の身体をほんの少し硬くした降谷。


以前、彼女とここに足を踏み入れた時と同じく、
その冷たい空気の中、他の人間は誰もいないようだった。
あの日は、降谷がAを無理に連れて来たようなものだったのだが。



「…」



気づいているのか否か。
視線の先、
柵の近くに佇んでいるAに、降谷は静かに近づいた。




「何をしているんだ?仕事...か?」

『…』


最初に会ったときのように、声をかけても振り向かない彼女に、
降谷はもう一度声をかけた。



「ここには、何度か来ているようだな」

『…え?』


聞いたことのある声にようやく気づいたのか。
くるり、と振り向いたA。

声をかけたところで反応しないのは、
彼女が実体を持たないらしいということを考えれば当然なはずなのだが、
まるで風見にでも話しかけているかような感覚を自身が持っていることを、
降谷は改めて感じていた。



『…何度か、って、そう…だっけ』

「え…?」

『っていうか、あなたやっぱり、私のこと尾行してる、…とか?』

「…」



“は?”
と、反論する前に、降谷には抗えない違和感があった。


これまでにも、確かにここで彼女を何度か見かけたはずだ。
ただ、どこかぼんやりしたような様子の彼女は、
特に何かごまかそうとしている雰囲気でもなくて。

しかし、湧き上がって来た違和感にも、
霧のように淡くぼやける感覚があって、
降谷はそのモヤモヤした何かを抱えたまま、


「仕事、か?
それとも、”また”これから――」

と、再び同じ問いを投げた。

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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが,引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは!この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます! (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年9月19日 8時

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