吸い込まれそうな蒼_3 ページ28
数時間後。
ポアロのシフトを終えた降谷は、ある場所でRX-7を停車させた。
米花市民病院。
その必要があった訳ではないが、蘭から話を聞いたこともきっかけで、
ふと立ち寄ったわけだ。
そう言えば前にも、何となくここに立ち寄ったことがあったな、と、
いまいちハッキリとしない記憶を探るようにして病院の中へ入っていく降谷。
(…もう退院したようだな)
例の依頼者が入院していた病室を訪れ、
室内のベッドが空になっていることを確認した彼は――、
「…」
ある病室の前にたどり着いていた。
考え事でもしていたのか。
自分の思考や行動がはっきり掴めないような、
奇妙な感覚を振り払うように瞬きをし、
病室のネームプレートを見上げれば、そこ書かれていた名前は
“雪村 香奈”。
その名前はもちろん覚えていて。
何故、その病室に横たわっているのか、
風見から受けた報告の内容も良く覚えていた。
そして――、
「…――!」
目の前のドア。
銀色に光る取っ手あたりから突如現れた姿に、
軽く目を見開いた降谷。
それは、前にも見たことがある光景で。
何度か、見たことにある光景で。
『…』
――Aだ。
そのまま、降谷の全身を丸ごとすり抜けるようにして歩く彼女は、
とっさにまたもおかしな声をあげかけた降谷には気づいていない様子で。
そのまま階段の方へ向かった彼女を、眉を寄せて見つめる降谷。
あの夜から彼女の姿は見ていなかった。
それは、自身が遺体と直面するような現場に足を踏み入れていないのだから、当然だ。
しかし、
一瞬見えた横顔に何となく気になるものを感じて、
それ以上考えを巡らせるよりも先に、降谷の足は動き出していた。
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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが,引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは!この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます! (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2021年9月19日 8時