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どんよりとした雲と奇妙な感覚_3 ページ3

「…」


( …そもそも、雪村香奈というのは――。いや、確か…)


うまくクリアに出来ないその思考の領域を掻き分けるように考えを巡らせつつ、
降谷はドアに手を伸ばし、一瞬躊躇った。


(…ノックはするべき、だろうな)


当然だ。
顔見知りでもない人物が、
例え顔見知りであっても、
誰かの病室にノックもなしに無断で入るなど非常識もいいところ。

ただ、降谷が躊躇ったのは、
そこに彼女がいるのなら、
その音を響かせるのはあまり得策ではないようにも思えたからだ。


(…考えすぎだな。
そもそも、誰かが入ってきたところで気にするような人でもないはず――)


と、そこまで脳内で呟いたところで、降谷は自嘲気味に口元を歪ませた。


まるで、
顔なじみの女性を表しているような、
そんな自身のセリフがあまりにもおかしく思えたからだ。


顔なじみと言えるような関係でもなく。
そもそも、”人”と表現するのが適切かも分からない相手に。





コンコンコン。


ストップさせていた手で軽くノックをし、静かに開いたドアの向こうには、
前にも確かに見た光景が広がっていた。





ベッドの周りに置かれたいくつもの機械。
そこから伸びる何本もの管。



そして――、
ベッド脇に佇む、Aの後ろ姿。


(たまたま訪れただけだったが、まさか本当にいるとはな…)



ピッ ピッ ピッ

と、規則的に繰り返される機械音以外、何も聞こえない無機質な空間だ。


カーテンの開けられた窓からは、
どんよりとした雲からうっすらと差し込む淡い光が差し込むだけの薄暗い部屋。


ベッドには1人の女性が横たわっていて、
Aは右手をその彼女の体に伸ばしているように見えた。

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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが,引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは!この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます! (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年9月19日 8時

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