選択肢_10 ページ19
「君みたいな存在は、どのくらいいるんだ?」
『え?…え…っと、
直接関わるのはそんなに多くないし、
見かけたことがあるといっても、
両手で数えるくらい…、かな』
「…」
『でも、1日でどのくらいの数の人が死んでいるのか、…殺された人の数とか考えると、
かなりいるんじゃないかと思うけど』
推測を交えて話すAに、降谷は納得したように軽く頷いだ。
全て本当だとして、正しく刈らなければならない魂の数がそれだけあるとすれば、
それだけ仕事をこなす存在が必要になるのは当然で。
しばらく沈黙が続いた後、
「…背が、高くて」
『え?』
少し低くなった小さな声でポツ、と漏らされた降谷の言葉。
「…」
『え…っと…』
「それから、黒いスーツを着た、…顎に短い髭を生やした短髪の男に心当たりは?」
『――え?な、何?』
沈黙を交えて投げかけられた更なる問いに、
話の流れが分からず戸惑うA。
降谷の表情は、うまく感情が読めず、でも、真剣な様子で。
「…」
すっと視線を外した彼に、
『…背が高くて、黒いスーツ…に髭、…。
そういう男の人は、知らない…かな』
と、記憶を辿って答えるのがAには精一杯だった。
冷静に考えて、話の流れから、
自分のような存在の中にそういう男がいるかどうかを問われたのだと、
今更ながらに推測して。
「そう、か」
『…』
「その…2つの選択肢――、は、どういう人物に与えられるものなんだ?」
『え…』
ふと途切れるかと思った彼からの疑問は、さらに続いて。
言葉通り、それほど多くのことを知っている訳ではないAは、
少し困ったように口をまごつかせた。
「君は…、この世に未練のある魂を刈ると言っていたが、
そう考えれば、君が死んだ時も同じ状況だったんじゃないか?」
『…』
「君も、”仕事”をするときにそういう選択肢を与えているのか?」
『――ま、まさか!』
続けて溢された降谷の疑問に、勢いよく首を横に振ったA。
これまでは、少々ポツリポツリと紡がれていた声が、
1トーン大きくなり、薄暗い車内に響いた。
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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが,引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは!この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます! (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2021年9月19日 8時