選択肢_8 ページ17
「1000人？」
よく分からない数字に首を傾げる降谷。
『…1000人の魂を刈り終えたら、実体が貰えるから』
「――は？」
ますます訳の分からないオカルト話に、
降谷はさらに首を傾げ、思い切り眉をしかめた。
「…まさか、生き返るとかそういう――」
『半日だけ、だけど。
それでも、そのまま死後の世界ってのに行っちゃうのは…、嫌だったし』
「…」
自身の想像は一蹴され、
それでもなおオカルト話に変わりはないのだが、
何と無く嬉しそうな、
…穏やかな柔らかい笑みを浮かべてフロントガラスの前を見つめるAに、
降谷は小さく息を呑んだ。
「…半日って――」
『…え？』
「君の言うことが本当なら、
1000人の魂を刈るといっても、死亡した人間が1000人いればいいという話じゃないんだろう？」
何故か少し不満そうなトーンになった降谷の声に、
視線を外していたAが運転席を見つめた。
「その条件に合う人物の魂を1000人分刈るのに、
…どのくらいの時間がかかるんだ？」
『うーん…、それは…』
「…」
『でも、何と言うか、米花町の担当になってから、
…全然嬉しい話じゃないんだけど、
結構仕事は、多いかな』
「担当というのがあるんだな」
『…そう。最初は全然何も分からなかったし、
先輩に教えてもらいながらしばらくは他の地域で一緒に仕事してたんだけど、
2ヶ月前くらいからここの担当になって…』
確かにそうかもしれない。
米花町は、不本意ながら殺人事件や強盗事件が頻発する呪われた地域ともいえる場所で。
理不尽に殺されて未練を残した魂や、
突然死んでしまってその状況を理解していない魂は、――多いのかもしれない。
だとしても。
「それでも、仮に1日に2回、君の”仕事”をしたとして2年近くかかる作業だ。
たった半日のために」
『それはそうかもしれないけど…』
「それに、君は人が死ぬところや殺されるところはみたくない…と前にも言っていた。
さっきの現場も――。
少なくとも、気分の良い”仕事”じゃないだろう？」
『…』
「そうまでして、やりたいことがある…ということか」
『そういうこと、かな』
そう言って、
Aは自分の両の掌を見つめ、互いの掌を軽く握り合う仕草をした。
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white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが，引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (
レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは！この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます！ (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2021年9月19日 8時
