選択肢_7 ページ16
「選んだ？」
『何故、かは分からないけど』
「…」
『どちらかを、選ばされた…から』
思い出すように、視線を頭上に動かして話し始めるA。
「選ばされた？」
『…うー…ん、選択肢を与えられた、という方が正しい…のかな…』
「…」
状況がよく分からず、
思い出しつつ言葉を紡いでいるらしい彼女の声に耳を傾ける降谷。
『…死んでしまった後、私の魂は、…刈られて、
それで、多分本当はそれから、
そのまま死後の世界…ってところに行って裁かれて…ってなるはずだったけど、
もう1つ、選択肢を与えられたの』
「…もう1つ、というのは――」
『この仕事を、手伝うってこと』
「…」
“――オカルトみたいな話が好きなの？”
降谷の脳裏にベルモットの声が響いた気がした。
しかし、
既にそういうところに足を踏み込んでいるのだということも彼はどこかで理解していて。
「それは、"覚えている"んだな」
『え...？』
「名前や、...自分が死んだことはよく覚えていないと言っていただろ」
『...それは、やっぱり...何故か、よく覚えてないから』
少し伏せ目がちにつぶやいたAに、
降谷はさらに続けて口を開いた。
「…で、君は、仕事を手伝うという選択肢を選んだということか」
『そういうこと。...何でそんなこと知りたいの？』
「”ルール違反”になるか？」
『え？』
前に彼女が言っていたルール違反という言葉を口にした降谷。
何がルールで、何が違反かは分からないが、
何にせよ、彼女が良からぬ状況になるのを望んでいる訳でもないようで。
『…うーん…、どうだろう。
多分、…もう、仕事も見られてるし、というかこれまでも話はしてるし、
…大丈夫、かなぁと思うけど』
「そうか」
彼女の言い草から大丈夫なのかどうかはハッキリ分からないものの、
やはり気になることは解消したい性分なのか、降谷はさらに問いかけた。
「それで…、君にどんなメリットがあるんだ」
『え…』
「選択肢、というのは、ほぼ同等のメリットとデメリットがある条件が提示されるものだろう？
その仕事を手伝う、というのは、君にどんなメリットが？」
『…』
言いにくいことなのか。
それは、”ルール違反”ということか。
再び途切れたAの言葉。
しかし――
『…1000人』
その沈黙は長くは続かなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
white12(プロフ) - ra-raさん» 返事が遅くなって失礼いたしました。嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。更新が不定期で申し訳ありませんが，引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。 (2021年9月24日 21時) (
レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra-ra - こんにちは！この先どのような物語になっていくのかワクワクした気持ちで読んでます。のんびりと更新待ってます！ (2021年9月19日 17時) (レス) id: f4447b9ee9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：white12
| 作成日時：2021年9月19日 8時
