Marble −茜色の言葉− (12)【名探偵コナン】

あとがき ページ33

Marble−茜色の言葉−をお読みいただきありがとうございました。
とても嬉しいコメントを頂いたりと、
皆様に応援していただきながら執筆させて頂けたこと、
改めて感謝いたします。

オリジナルキャラクターも数名入った作品で、
原作のことを考え、青山先生には申し訳なさが募ります…

が、原作が素晴らしいゆえということで、
身勝手ながら、
このあとがきという形で、
本作品に込めた想いと背景を少々お話させていただきたいと思います。
ご不快を与えてしまいましたらすみません。




夢主と降谷は、
相容れない様で時に似ている様なところもあって、
という微妙な間柄として描きました。


同じような過去、見ないふりをしてはいけない心の傷。
それでも前に進むために見ないフリをして走り続ける降谷と、
走り続けることが出来なくなりながらも、
それでも前に進むために回り道をしながら一つの道を見失うことなく、
時には迷いつつ進んで行こうとする夢主。

時には残酷に、非情に、冷徹に。
そうして任務を遂行する降谷は、
確固たる信念と国を守るためには手段を選ばないほどの覚悟を持ち合わせていて。
一方夢主は、
任務の犠牲になったとしても綺麗な言葉で片付けられてしまうような、
上層部の伝統的とも言える体質と考えに対する不信感と疑問と、
それでも公安という組織を否定するわけでもなく、
理性の狭間で葛藤しつつ、守るべきものを守りたいものを守れないことが一番怖いのだと悟り、
その道を見失うことなく進んでいこうとする。


夢主は時折、自身の過去と思いを吐露していますが、
それでも、通じ合っていることすらお互い言葉にも態度にも当然見せない2人の関係は、
徐々に近づいている様でそうでないようで。
相容れない様で、
でも、明確な言葉にせずとも通じ合うところがあるのだと、2人はいわば本能的な感覚で、
必然的に心を通じ合わせ始めた。
そんな、切なくもじわりと暖かいストーリーを描きたかった作者でした。

通じ合うところもあり、
そして、
一方が見ないフリをしていた、あるいは疑っていたことが、
相手の言動や行動で少しずつ溶かされていく。
そういう微妙な心情の変化もほんの少しでもお伝えできていれば、嬉しく思います。


救いを求めてはいけない。
救われてはいけないのだと。
だからこそ、自分は歩いていけるのだと。
その夢主の確固たる決意が、
降谷へのわずかな救いになればと、
矛盾した言い方ですがそういう作者の願望も含まれています。

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