エピローグ2: 知ってる_3 ページ22
そして。
「…ん」
『…え？』
ちょいちょい、と軽く手招きをしている目の前の男に、
瞬きを繰り返し、悩ましげに軽く俯いたA。
ラグに座ったまま、後ろのソファにもたれかかっている松田は、
隣に来いと言っている訳で。
取って食わないなどと冗談めいたことを言われたとはいえ、
部屋に入れば多少なりともそうしたことになるくらい、
Aも、ほんの少しくらいは分かっている。
『…で、でも、片付け――』
「後で良いだろ」
食べ終わったばかりの皿やグラスは、まだテーブルに置かれたままだ。
明らかに口実とも言えるAの言葉は松田の柔らかい声に一蹴され、
Aは、おずおずとラグから腰を上げ、彼に近づこうとした。
「…悪ぃ。無理強いするつもりは、ねぇから」
そして、緊張した様子でゆっくり近づいてくるAを見つめて、
座ったままで、首を傾げながら困った顔で目を細めた松田。
Aは、少し緊張したままで、
しかしふわりと表情を緩めて、左右に首を振ると、
ストンと、松田の隣に腰を下ろした。
明らかに慣れていない様子の自分に、
“無理強いをするつもりはないから”などと、
ゆっくりと歩み寄ってくれる松田。
乱暴な言葉は相変わらずで、でも、その優しさが温かくて嬉しくて。
でも、こういうことに慣れていなくてどうしたら良いのか分からなくなる自分が歯がゆくて。
そっと控えめに肩に乗せられた彼の大きな手から感じる温度が、
温かくて。
Aは、おずおずと、
松田の手が控えめに誘導している方向へと、体重を預けた。
だらりと下ろした自身の右手と、
彼の右手が軽く触れ合ったのが分かった。
緊張した様子で自ら身体を寄り添わせてきたAに、
少し驚いたものの、
じわりと愛おしそうに口元を緩め、彼女の肩に置いた手を移動させ、
その髪をゆっくりと撫で始めた松田。
ピクリと跳ねたAの肩は、
徐々に脱力し、ほんのりと自身の体にのしかかる重力が、
とても心地よく感じた。
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white12(プロフ) - souさん» 嬉しいコメントを頂きありがとうございました。関西弁の夢主は初挑戦でしたが，お楽しみ頂けて良かったです。ラストの甘い雰囲気も，ご満足頂けていたら嬉しい限りです。最後までお読み頂きありがとうございました。 (2022年4月4日 13時) (
レス) id: 35753a7d46 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 最後のところ松田さんが甘くてにやにやが止まりませんでした♡関西弁の夢主設定も可愛い！ (2022年3月24日 18時) (レス) @page26 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 金糸雀さん» 本作をお読み頂きありがとうございます。お褒めの言葉，とても嬉しく思います！また，リクエストも頂きましてありがとうございます。現在執筆時間がほぼ無い状態のため，お約束は出来ないのですが，もし書けましたらエピローグ的にupさせて頂きたいと思います。 (2021年5月10日 19時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - とても素敵な作品でした！松田さんの言葉遣いや捜査一課の面々とのやりとりは見ていて面白かったです！これは、リクエストなのですが、夢主ちゃんと松田さんがポアロで安室さんと話すシーンが見たいです！時間が御座いましたらで構わないのでお願いします！！ (2021年4月25日 15時) (レス) id: e5f7c718e0 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - ミックさん» お返事が遅くなり申し訳ありません。下記作品は、作者の都合により公開を停止しています。申し訳ありませんが、ご了承くださいませ。 (2020年10月26日 21時) (レス) id: 9553187897 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2020年7月31日 19時
