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関西弁で ページ8

数日が経ったある日。


日が暮れた一課のオフィスには、
少し怒ったような表情の佐藤に、
引きつりかけた眉をわずかに動かして苦笑いをしているAの姿があった。



「さ、行くわよ。A」

『あ…私、もうちょっとやることが――』

「何言ってるのよ!Aの快気祝い、やってなかったでしょ?
しばらくは、…A、あんまり寝てなさそうで疲れてたからちょっと心配だったけど。
もう、すっかり元気そうだし、ね?」


まるで犯人かのように、
その首をがっしりホールドされ、ぐいっと連行されようとしているA。

少しだけ離れてついていく高木は、ただ苦笑いを零している。


『…なんか、面白がってへん?高木』

「え?」

『それなりに…、痛いんやけど』


ニヤついているように見えたらしく、
彼をギロリと睨みつけたA。

しかし、


「何か言った?」


と、頭上から零された佐藤の声。

何食わぬ顔をして楽しげに自分を引っ張っていこうとする彼女が、
らしくもなく何気に恐ろしく思えて、
Aはとりあえず、引きつった笑みを返した。



快気祝いというなら主役のはずなのだが、
そういう扱いではなさそうな彼女に苦笑いを零していたのは、
高木だけではなくて。



「へぇ?お前が文句言わずについてくるってのは、珍しいな」

「別に。俺も最近呑んでねぇしな」

「…」

「それに、怪我が治ったと思ったら、
今度は思い切りヘッドロックかけられてる奴が、
まぁ、ちっとは可哀想かと思っただけだろ」


伊達の言葉を軽くかわし、
両手をポケットに入れて、
困った顔を浮かべて佐藤を見上げているAを、
松田が呆れたように見つめていた。


伊達は、詳しいことは分からないものの、
どうにも良い間柄になってきている様子の2人に、

“やっぱ、良いコンビになるっていう俺の予想は間違ってなかったみてぇだな”

と、楽しげにこっそり呟いた。

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設定タグ:名探偵コナン , 松田陣平   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - 紅月さん» お読み頂いているだけでもありがたいのに、嬉しいコメントを頂けて、特に台詞や情景についてそう言って頂けて、本当にありがとうございます。夢主は脆さもありつつ芯のある人物を描いているつもりなので、伝わっていて嬉しいです。後少しですが、ぜひお楽しみ下さい。 (2020年7月31日 23時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - 文章力が…ッ文章力が有りすぎる!読みやすくて話に引き込まれちゃいます!台詞や情景描写の言い回しがめっちゃ好きです。話の展開、過去の話、主人公の決意諸々…色々が本当に格好いい!更新楽しみにしています! (2020年7月31日 18時) (レス) id: be796dbe9a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2020年7月20日 20時

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