束の間の乾杯【F】_13 ページ34
降「確かにな。
…まぁ、きっかけはどうであれ、一緒にいたいと思える人、かな」
景「…」
降「でも、なんていうか…、望むものが少ないといえばそうなんだが、
…ちょっとした幸せを大事にして、穏やかに笑ってるような柔らかい人、だ」
グラスを見つめたまま笑みを零した降谷に、
“…なんか、おばあちゃんみてぇな気がするのは俺だけか？”
と、ボソリと呟いた萩原は、
隣に座る伊達から鋭いエルボーを食らって盛大に咳き込んでいる。
降「かと思えば、コロコロ表情を変えて飽きないっていうか。」
少し前の夜。
彼女を抱きしめたあの日。
何事もなかったように葛餅を頬張り、
“おやすみなさい”、と店を立ち去った降谷だったが、
別れ際まで落ち着かない様子だった茜を思い出す降谷。
降「でも、やっぱり…、自分の信念のもとに、
過去や...目の前のことを受け入れながら生きてるっていうか。
感受性が豊かで色々なことに感化されやすそうなのに、
...見たものとか触れたものや感じたこと。
そういうものだけ信じようとするっていうか、
揺らがないというか...、芯はかなり強くてさ。」
大事そうに話す降谷を黙って見つめる4人。
降「まぁ、…ある意味、僕とは真逆の人かもしれないけどな」
景「信念を持って、それを信じて受け入れて生きてるのは、…同じだろ。」
嘘や偽りも常套手段の公安としての自分の立場を言っているのか。
自嘲気味に笑ったはずの降谷は、
景光の言葉に、”そう、かも…な”と、呟いた。
“それを信じて受け入れて”
景光の言葉は、
公安の人間としての彼を指していたのか。
彼が背負っているものを指していたのか。
あるいは、彼の過去を――、背負ってきたものを指していたのか。
降「”肩の力が抜ける”なんて、口にしたら...、
公安として、任務中なら許されないことだけどな。
特にヒロの前では…。
でも、落ち着く人…という言葉が一番、しっくり来るかもな。」
上司と部下の関係だろう降谷と景光を、
優しげに見やる伊達たち3人。
松「…何にせよ良かったんじゃねぇの。
降谷がそんな顔すんの、初めて見るな」
降「まぁ…僕も、ヒロと同じで、
彼女に何かを話せるわけじゃないんだけどな」
伊「色々あるだろうが...、それでも、幸せそうで何よりだ。」
ハハッという伊達の笑い声は、
その場を明るくする合図のようで。
降谷が手にしたバーボンのグラスに、
4人はそれぞれカチンと手元のグラスを軽くぶつけあった。
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white12(プロフ) - チッピとデーラさん» 原作をねじ曲げているのは心苦しいですが，ifの世界で警察学校組の皆が笑っていたら...という妄想全開の作品ですが，Fは私自身時々読み返してニンマリする作品となりました (自画自賛ですみません...)。少しでも心に残る作品になっていましたら，この上ない喜びです。 (2021年6月7日 20時) (
レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - チッピとデーラさん» 本作をお読み頂きありがとうございます！シリーズを全部読んでいただけたなんて，作者の勝手な妄想で繰り広げられた世界でしたが，気に入って頂けて本当に嬉しいです。 (2021年6月7日 20時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - こんな未来が原作であったら…と思ってしまうほど、文章も情景描写もお上手で、引き込まれました。こんなに素敵な作品を完結してくださり、本当にありがとうございます！長文失礼しました。作者様の他の作品も読んでみようと思います！これからも頑張ってください！ (2021年6月3日 22時) (レス) id: 53b6430389 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - 最後のFで、5人が集まって女子会ならぬ男子会をしているのも、胸が熱くなりました、、、降谷さん達が恋人、想い人にどんな印象を持っているのかも知ることができて、伊達さんのお父さんキャラも見れて、ほっこりしました。 (2021年6月3日 22時) (レス) id: 53b6430389 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - はじめまして。Rainから今作まで全部読みました！警察学校組大好きなので、4人(伊達さん入れて5人ですね)が生存していたら、という数あるお話の中でも特に気に入ったシリーズでした。私は特に最初の松田さんのRainと、ヒロさんの4869がお気に入りです！ (2021年6月3日 22時) (レス) id: 53b6430389 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2020年7月5日 13時
