束の間の乾杯【F】_4 ページ25
降「そういえば、松田」
松「ん？」
降「結婚するのか？菜々さんと」
すっかり平らげられた料理の皿を目の前に、
降谷からかけられた言葉に、
口に含んだビールを思わず吹き出しそうになった松田。
萩原は事情が分かっている様子で、
楽しそうにニヤリと笑っている。
そして、結婚という話には驚きつつも、
菜々と松田のことを知っている伊達はおおよそ、
そういうことかという顔をしていて。
しかし景光にとっては全くもって知らない話な訳で。
1人、”は？”という顔で、松田を見つめている。
松「…」
降「あ、いや。僕がポアロをやめる前、…確か3週間くらい前か。
彼女、店に来てくれて。指輪をはめていたから、少し聞いたというか…。
ずいぶん幸せそうな顔、してたぞ」
伊「へぇ？松田、お前もやるな。プロポーズしたのかよ」
なぜか問い詰められているような状況に、苦い顔を浮かべる松田に対し、
“男じゃねぇか。”と、嬉しそうにグラスを傾けている伊達。
景光は相変わらず事情が掴めないようで、
萩原からこっそり話を聞いている。
降「でも彼女、
”そうなったら良いなと思っている”って話していたから、
まだ、正式にって訳じゃなさそうだな」
松「――――......は？」
降谷の言葉に、
信じられないような顔で小さく目を見開き、
松田は彼の顔をじっと見つめた。
降「え...？」
松「…アイツ、そう言ってたのか？」
降「あ、あぁ。嬉しそうな顔してたけど…な」
正式な婚約ではなくとも、
いずれ近いうちにそういうことになるのだろうと、
降谷もまた嬉しい気持ちになっていたのだが、
目の前の男はどうだ。
訝しげに思い切り顔をしかめている。
松「はぁ…」
大きなため息を零した松田は、
1ヶ月ほど前のことを思い出していた。
菜々に指輪を渡した時だ。
“ずっと、一緒にいてぇって、思ってるから”
そう言ったはずだ。
少し戸惑いながらも、"ありがとう"と、
はにかんでそれを受け取ってくれた彼女に安堵した夜のことは、鮮明に思い出せる。
あれは、婚約…、プロポーズではなかったのだろうか。
自分の言葉に、
自問自答し始める松田に、
降谷たちが不思議そうな顔を向けた。
萩原は、その話を本人から聞いているわけで。
松田に少し哀れみのような笑みを向けて、
肩をポンと叩いた。
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white12(プロフ) - チッピとデーラさん» 原作をねじ曲げているのは心苦しいですが，ifの世界で警察学校組の皆が笑っていたら...という妄想全開の作品ですが，Fは私自身時々読み返してニンマリする作品となりました (自画自賛ですみません...)。少しでも心に残る作品になっていましたら，この上ない喜びです。 (2021年6月7日 20時) (
レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - チッピとデーラさん» 本作をお読み頂きありがとうございます！シリーズを全部読んでいただけたなんて，作者の勝手な妄想で繰り広げられた世界でしたが，気に入って頂けて本当に嬉しいです。 (2021年6月7日 20時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - こんな未来が原作であったら…と思ってしまうほど、文章も情景描写もお上手で、引き込まれました。こんなに素敵な作品を完結してくださり、本当にありがとうございます！長文失礼しました。作者様の他の作品も読んでみようと思います！これからも頑張ってください！ (2021年6月3日 22時) (レス) id: 53b6430389 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - 最後のFで、5人が集まって女子会ならぬ男子会をしているのも、胸が熱くなりました、、、降谷さん達が恋人、想い人にどんな印象を持っているのかも知ることができて、伊達さんのお父さんキャラも見れて、ほっこりしました。 (2021年6月3日 22時) (レス) id: 53b6430389 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - はじめまして。Rainから今作まで全部読みました！警察学校組大好きなので、4人(伊達さん入れて5人ですね)が生存していたら、という数あるお話の中でも特に気に入ったシリーズでした。私は特に最初の松田さんのRainと、ヒロさんの4869がお気に入りです！ (2021年6月3日 22時) (レス) id: 53b6430389 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2020年7月5日 13時
