束の間の乾杯【F】 ページ22
5月中旬のある夜。
何食わぬ顔をした安室に、
茜が百面相を繰り返していたあの夜から数日が経った頃。
非番の伊達は、
自宅のキッチンでえも言われぬ楽しそうな笑みを浮かべていた。
「奇跡っつー言葉はあんまり口にしたことはねぇんだけどよ。
なんか今日はそんな気がしちまうな」
“何言ってんだ”
と苦笑を返したのは、彼の同期である"降谷零"だ。
キッチンで何やら菜箸を動かしている。
「いや、お前が来たってだけでもよ。
その上、アイツらより早くここに来てるってのは…、
いや、奇跡以外の何モンでもねぇな」
相変わらずニヤリと笑う伊達。
「つまみ食いしようっていうなら残念だが諦めろ。
主役は座って待ってるもんだぞ」
「ハハッ。嬉しいこと言ってくれるもんだな。ゼロ？」
“しかし本当にお前は料理が上手ぇな”
伊達がジロリとフライパンの中身を見つめた直後、
鳴り響くインターフォンの音。
「お、アイツらか？」
そうして、部屋に入ってきたのは松田、そして萩原だった。
「は？」
「嘘だろ？降谷、もう来てたのかよ」
「来るって聞いただけでも、正直ちっと顔見せただけでまた帰んじゃねぇのって思ったんだけどな」
心底珍しそうな顔をした後、ニヤリと伊達と似たようなことを言いながらサングラスを外す松田と、嬉しそうに笑みを浮かべている萩原。
「ん。」
「適当なモンだけどな」
彼らが伊達に差し出したのはいくつかのビニール袋。
どうやら酒やつまみが入っているようだ。
「…ってか、ゼロがなんか作ってんのか？」
「今日は祝いなんだろ？当然だ」
鍋をかき混ぜている降谷は、
同期たちとの空間にずいぶんと表情を緩ませている。
「ハハッ。警察学校んときは料理なんて出来なかったみてぇなのに、
ホント、降谷は何でもすぐに出来るようになっちまうな」
「萩。お前のドライビングテクニックのことでも言ってんのか？」
ニヤリと楽しげに笑いながら、
松田、萩原は伊達とともにソファにドカッと座った。
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white12(プロフ) - チッピとデーラさん» 原作をねじ曲げているのは心苦しいですが，ifの世界で警察学校組の皆が笑っていたら...という妄想全開の作品ですが，Fは私自身時々読み返してニンマリする作品となりました (自画自賛ですみません...)。少しでも心に残る作品になっていましたら，この上ない喜びです。 (2021年6月7日 20時) (
レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - チッピとデーラさん» 本作をお読み頂きありがとうございます！シリーズを全部読んでいただけたなんて，作者の勝手な妄想で繰り広げられた世界でしたが，気に入って頂けて本当に嬉しいです。 (2021年6月7日 20時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - こんな未来が原作であったら…と思ってしまうほど、文章も情景描写もお上手で、引き込まれました。こんなに素敵な作品を完結してくださり、本当にありがとうございます！長文失礼しました。作者様の他の作品も読んでみようと思います！これからも頑張ってください！ (2021年6月3日 22時) (レス) id: 53b6430389 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - 最後のFで、5人が集まって女子会ならぬ男子会をしているのも、胸が熱くなりました、、、降谷さん達が恋人、想い人にどんな印象を持っているのかも知ることができて、伊達さんのお父さんキャラも見れて、ほっこりしました。 (2021年6月3日 22時) (レス) id: 53b6430389 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - はじめまして。Rainから今作まで全部読みました！警察学校組大好きなので、4人(伊達さん入れて5人ですね)が生存していたら、という数あるお話の中でも特に気に入ったシリーズでした。私は特に最初の松田さんのRainと、ヒロさんの4869がお気に入りです！ (2021年6月3日 22時) (レス) id: 53b6430389 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2020年7月5日 13時
