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Words_5 ページ49

『じゃ、気をつけて帰ってね?
本当に、おめでとう』


Aに軽く手を振り、書店を去る鈴宮は、
直後、ある人物とすれ違った。


「もしかすると、
若い君 (きみ)が理解できるようになるにはまだ、早いかもしれないな」


すれ違いざまに告げられた言葉。


「…え?」


鈴宮が良く分からずに振り向けば、
前に見たような気がする客が書店に入っていくのが見えた。

しかし、あまりにも整った容姿のその男に、
そして、何故か、軽く笑みを浮かべて突如挑発的に零されたその言葉に、

ただ、ポカンとするだけだった。


理解できるようになるにはまだ早いかも知れない――。

それは、
先ほどの”言葉”に対してなのか。


それは、
“相原A”という人物に対してなのか。








「こんにちは」

『あ…』


鈴宮が去った後。
店に戻ったAは、
ニコリと微笑んで店に入ってきたその人物に、一瞬だけ戸惑った。


しかし、

『――いらっしゃいませ…!』



ふわりとした、そして、どこか気恥ずかしそうな笑みを浮かべて、
嬉しそうに彼を迎えたのだった。









――――――



2Fの和室。
並んだ遺影の前のちゃぶ台には、
Aの祖父の手帳が置かれていた。

そこからはみ出しているのは1枚の写真。



無邪気に笑う赤ん坊をアップで映したそれには、
抱きかかえている人物の左手も映り込んでいて。


薬指に指輪をはめたその手の近くには、


――少し癖のかかった長い髪が、
わずかに映り込んでいて。





写真の裏には――、




“Aにたくさんの幸せを

悟、 栞”




ただ短い言葉が、綴られていた。




―――― (END)

あとがき (作者より)→←Words_4



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» 少々複雑な話になった気もしています。降谷が絡むとどうもそういう話になるようで...(苦笑)。本作も、最後までお読みいただき本当にありがとうございました。 (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» 互いに全く違うような感じですが、実はかなり近しいところもあるというか、本質的な部分を描きたかった本作でした。ちょっと切ないと言うか本質的に互いが抱える葛藤をさらに抉るような部分もありつつ、理解しあっていく(おもに降谷が、ですが)という... (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» 今更ながらの返信ですみません...。いつもコメントありがとうございます!2人の微妙な関係と、なぜかお互いに心地よさを感じるという矛盾のような必然性のようなそういったところが伝わっていてとても嬉しく思います。 (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*普段時間の針が穏やかに進んでゆっくりなのに突然リズム乱して刻みだし早さ一定してない相原さんと普段寸刻を争い生きている降谷さん。2人一緒だと時空が歪みそうなのに何故か心地良くて...撒き塩での出会いが懐かしくしんみりします*。 (2020年7月6日 4時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - りんさん» お目汚しになった箇所も多いと思いますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。また、他の作品でもお会いできましたら幸いです。 (2020年7月5日 0時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2020年6月17日 21時

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