緑茶の匂いと親友の言葉_5 ページ5
「ポアロもそうなんだろうけど、
前に代わりに本を返しにいったあの書店も、
ゼロ、好きそうだったもんな。
落ち着く空間だって前に言ってたし」
「まぁな。あそこは興味深い本も多いしな」
「よく分からねぇけど、まぁ、落ち着いたら飲みにでも行くか。
こんなところで話せないことばかりだろうしな。
そういや、この間伊達にも落ち着いたら飲もうぜって誘われたぞ。
捜査権横取りすんなって念押された後に言われてさ、
この流れで普通誘うか?って思ったんだけどさ。
まぁ、松田が騒いでるって話だったみてぇだけど」
景光も言われたのか、と、苦笑いを浮かべる降谷。
ヒラヒラと手を振りながら景光がデスクを去ると、
再びカップに視線を落とし、冷めてしまったそれを口にした。
「落ち着く…、か」
落ち着く空間である相原書店を思い浮かべた直後、
あの事故の現場で震えていた彼女、
バイクと接触しかけたあの日のことを思い出す。
そして、資料室で目にした27年前のことを。
笠間の話を。
先ほど景光から受け取った書類に目を通し、
眉をひそめた降谷は、
目の前の膨大な資料の山に手を伸ばすと、デスクワークを再開したのだった。
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white12(プロフ) - なーこさん» 少々複雑な話になった気もしています。降谷が絡むとどうもそういう話になるようで...(苦笑)。本作も、最後までお読みいただき本当にありがとうございました。 (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» 互いに全く違うような感じですが、実はかなり近しいところもあるというか、本質的な部分を描きたかった本作でした。ちょっと切ないと言うか本質的に互いが抱える葛藤をさらに抉るような部分もありつつ、理解しあっていく(おもに降谷が、ですが)という... (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» 今更ながらの返信ですみません...。いつもコメントありがとうございます!2人の微妙な関係と、なぜかお互いに心地よさを感じるという矛盾のような必然性のようなそういったところが伝わっていてとても嬉しく思います。 (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*普段時間の針が穏やかに進んでゆっくりなのに突然リズム乱して刻みだし早さ一定してない相原さんと普段寸刻を争い生きている降谷さん。2人一緒だと時空が歪みそうなのに何故か心地良くて...撒き塩での出会いが懐かしくしんみりします*。 (2020年7月6日 4時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - りんさん» お目汚しになった箇所も多いと思いますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。また、他の作品でもお会いできましたら幸いです。 (2020年7月5日 0時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2020年6月17日 21時