オレンジに染まる曇り空_7 ページ16
「それは…」
『母、というか、…警察に、というか。
そう、疑っていたみたいで。
ポツポツと書かれていた日記だったので、…良く、分からないんですけど』
ただ、事実を述べるように話すAの前で、
安室は、彼女の祖父はおおよその真相を掴んでいたのではないかと感じた。
といっても一般人が調べられることなどたかが知れている。
推測を重ねたとしても、それが明らかになることはありえないのだが。
「でも、あなたの母親も、同じ事故で亡くなっているんですよね?」
『…捜査に協力していたとか、そういうことで、父が母と仲良くなって、…結婚したらしいんですよね。
本当に詳しいことは知らなくて、祖母から聞いた、母は警察官だったって話と、
祖父の日記から、…想像したことも多いですけど』
「…」
『事故のことも、たまたま運が悪くて、2人が巻き込まれただけ。
でも、…本当は、警察のせいかもしれないって…、祖父はそう疑っていたみたいで。
事故のことは、新聞にも大した情報は載っていなくて。
警察に話を聞きにいっても、埒があかなかったらしくて。納得出来なかったんだと思います。』
「…なるほど」
『父が元々勤めていた会社、横文字のナントかっていう過激派組織っていうのとつながっていたとかで、
その組織が捕まったあとで倒産したそうなんです。
父はその前に会社を辞めていたらしいんですけど。
…なんだか、そのことで、母のことも疑っていたみたいで。
母が偽名を使ってたらしいのも、怪しんでたみたいで、日記に何度か書かれていました。』
知らない、と言っていたにも関わらず、
急にその事実を話し始めたAに、安室は少し面食らっている。
当の彼女は、
膝から下りて再び川沿いに下りていったハロに、小さく手を振っている。
103人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
white12(プロフ) - なーこさん» 少々複雑な話になった気もしています。降谷が絡むとどうもそういう話になるようで...(苦笑)。本作も、最後までお読みいただき本当にありがとうございました。 (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» 互いに全く違うような感じですが、実はかなり近しいところもあるというか、本質的な部分を描きたかった本作でした。ちょっと切ないと言うか本質的に互いが抱える葛藤をさらに抉るような部分もありつつ、理解しあっていく(おもに降谷が、ですが)という... (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» 今更ながらの返信ですみません...。いつもコメントありがとうございます!2人の微妙な関係と、なぜかお互いに心地よさを感じるという矛盾のような必然性のようなそういったところが伝わっていてとても嬉しく思います。 (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*普段時間の針が穏やかに進んでゆっくりなのに突然リズム乱して刻みだし早さ一定してない相原さんと普段寸刻を争い生きている降谷さん。2人一緒だと時空が歪みそうなのに何故か心地良くて...撒き塩での出会いが懐かしくしんみりします*。 (2020年7月6日 4時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - りんさん» お目汚しになった箇所も多いと思いますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。また、他の作品でもお会いできましたら幸いです。 (2020年7月5日 0時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:white12 | 作成日時:2020年6月17日 21時