Words (4)【名探偵コナン】

オレンジに染まる曇り空_2 ページ11

そして、
ほんの少し考えるように口を閉ざした後、

「座っても？」

と、安室はAの横に腰掛けた。



「…ハハ。くすぐったいぞ、ハロ」

『ハロは安室さんが大好きなんですね。
散歩させなくて大丈夫なんですか？』


Aの膝のあたりから、ヒョイっと安室の胸に飛び込んだハロは、
ぺろぺろと飼い主の頬を舐めている。


「えぇ。ここまで走ってきましたしね。
ハロも、相原さんに会えて何だか嬉しそうですし」

『…フフッ。そうでしょうか』


安室の膝の上でもぞもぞとしているハロに笑みを落とすA。
返事のつもりか、ハロが楽しそうに“アン！”と鳴き声を漏らしている。


「今日は、朝の副業はお休みなんですか？」

『あ、そうなんです。毎日じゃないので…』

「そうなんですね。朝日を見に来たのは、何か…理由が？」


少しだけ配慮するような言い方をする安室。

先日の事故のことがある。
何より、笑みを浮かべながら葛藤している様子の彼女のそれに、心当たりがある。
それでも、敢えて何も知らないかのように、問いかけた。


『あ、何かって訳じゃないんですけど。
単に、ここで朝日を見るのが好きなので、
習慣っていうほどでもないんですが、ふとした時にというか…。
でも、今日は曇り空なので、綺麗には見えなさそうですけどね』


自嘲気味に笑うAに、
安室も笑みを返した。



「あれから、危険なことはありませんか？」

『はい。私は、大丈夫です。
あの日は本当に、…すみませんでした』

「いえ。本当に軽い怪我だけですから。
相原さんが無事で良かったです。
あの日の事故については、今も警察が調べているようなので、
また、伊達…刑事、あの捜査一課の刑事から何か聞かれるかもしれませんけど」


同期である伊達と話したことで、
少なくとも3度、まるでAが狙われていたような未遂の事故があったことを理解した安室。

一課が調べているなどと言ったものの、
風見たちの調べによっても、おおよその見当はついていた。


“今の公安警察に必要と判断してのこと、か”


笠間の声が脳裏に響いた気がして、
安室は自嘲気味に口角を上げた。

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