緑茶の匂いと親友の言葉 ページ1
翌朝。
書店のシャッターを開けたAは、
気持ちのいい日差しに目を細めた。
『もうすぐ5月かぁ。
日差しがキツくなってきたなぁ…』
太陽に手を翳しながら、
またも頭の中に2日前の光景が蘇りそうになり、
Aはふるっと頭を振って思考をかき消した。
あの日からずっとこんな調子だ。
それも仕方のないことだと、理解してはいるのだが。
『感化、されすぎ…っていうのは、違う、けど。
おじいちゃんに、怒られちゃいそう』
そう呟いて店の中に入るA。
そして、ふと、少し前にここで安室に問われたことを思い出した。
『そう言えば、八神さん。
しばらく来てないけど、諦めてくれたのかな』
もう改修の予定を進めているのだ。
今更、何を言われようと考えを変えるつもりはないし、
そもそもそれは出来ない状況だ。
諦めてくれたならそれが一番だ。
しかし、何故安室がそれを問うてきたのかは、
やはり不思議でしかなかった。
そうして、
何人かの客を対応した後、客足が減ったのを見計らい、
奥の和室で緑茶を入れ始めたA。
『今日はちょっと暑いし…』
カラン…と、湯飲みに2つ氷を入れて、
アイスグリーンティーにしたそれを口に運ぶと、
ふわりと広がる緑の香り。
幼い頃から慣れ親しんだその味は、
Aの心を穏やかにさせた。
『んー。残りの栗羊かん…、って――』
店の様子を見つつ、台所に向かおうとしたAは、
直後に入ってきた客を目にして慌てて店内に戻っていった。
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white12(プロフ) - なーこさん» 少々複雑な話になった気もしています。降谷が絡むとどうもそういう話になるようで...(苦笑)。本作も、最後までお読みいただき本当にありがとうございました。 (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» 互いに全く違うような感じですが、実はかなり近しいところもあるというか、本質的な部分を描きたかった本作でした。ちょっと切ないと言うか本質的に互いが抱える葛藤をさらに抉るような部分もありつつ、理解しあっていく(おもに降谷が、ですが)という... (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» 今更ながらの返信ですみません...。いつもコメントありがとうございます!2人の微妙な関係と、なぜかお互いに心地よさを感じるという矛盾のような必然性のようなそういったところが伝わっていてとても嬉しく思います。 (2020年7月15日 15時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*普段時間の針が穏やかに進んでゆっくりなのに突然リズム乱して刻みだし早さ一定してない相原さんと普段寸刻を争い生きている降谷さん。2人一緒だと時空が歪みそうなのに何故か心地良くて...撒き塩での出会いが懐かしくしんみりします*。 (2020年7月6日 4時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - りんさん» お目汚しになった箇所も多いと思いますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。また、他の作品でもお会いできましたら幸いです。 (2020年7月5日 0時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2020年6月17日 21時