休憩室の先客_3 ページ8
処分を下す側。
言葉だけを取れば嫌味な松田のそれに、
降谷はニヤリと笑う。
「存在しない組織であれっていう…”ゼロ”ってのも、
お堅いっつーか、面倒くさそうだな。
まぁ、俺は絶対無理だけどな」
「…うるさい。」
「そういうことは、ゼロにしか出来ねぇだろうしな」
「...」
"お堅い"組織への不満と、
どこか賞賛しているような松田のセリフに、
降谷は一旦口を閉ざした。
「いちいち見られないように気ぃつけねぇといけねぇんだろ。
...ってか、ゼロのゼロって、なんかややこしいな」
「なんだそれ」
ニヤリと笑みを交わしコーヒーに口をつけた後、
降谷が口を開いた。
「松田はもうちょっと組織のルールを考えて、
うまく動くことを覚えた方がいいと思うぞ」
「...いちいち管轄だとか面倒臭ぇこと言ってて、
犯人取り逃したらどうすんだよ」
「だから、ルールに従うだけじゃなく、
処分されないようにうまく動く方法を考えろって言ってるんだ」
「うまく立ち振る舞えってことか。
…そういうの俺が一番苦手だって、よく知ってんだろうが」
「まぁ、な」
出会った頃から考えれば、もう長年の付き合いだ。
警察学校で、何より濃い時間を過ごした仲間の1人。
顔を合わせる時間はほとんど無くなったにせよ、
その関係が崩れることはない訳で。
フッと、もう一度笑みを交わし合う2人。
降谷とて縦社会の組織に絡め取られているような立場ではあるものの、
組織のルールにただ従っている訳じゃない。
自身の信念を貫くため、
時にはそれを破る必要があることもよく分かっている。
「じゃあ、その辺りのことを含めて、今度お前と飲むのが楽しみだな。
お前はまだあの店で”安室透”をやってるみてぇだし。
会うのは問題ないだろ。」
「前にも言ったが、安室透として松田たちと飲みたいとは思わない」
「そういうことじゃねぇよ」
松田はコーヒーをぐいっと飲み干すと、
“じゃあな。あんまり長居するとまたうるせぇこと言われるからな”
と、降谷の肩を軽く叩いて休憩室を去っていった。
「あの佐藤という女刑事に絞られてるってことか」
フッと複雑な表情で息を吐く降谷。
そして、1課へ戻るためエレベーターへと乗り込んだ松田は、
「なんかアイツ、目の下のクマが酷くなってる気がするんだが…」
と、降谷の疲れた顔を思い出し、
旧友として心配そうな表情でため息を吐いたのだった。
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white12(プロフ) - リンさん» すごく嬉しいコメントありがとうございます！励みになります。劇的なストーリー展開ではないので物足りなく感じるかもしれませんが、そのように感じて頂けたのは本当に嬉しいです。話はもう少し続きますがお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月23日 21時) (
レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
リン - こう、じわじわと距離が深まっていくお話は中々夢小説にないので、個人的にとても嬉しいです。内容も面白くって読んでいて飽きない……すごい。更新楽しみにしてます！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 73f2c7a15b (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - アイスあるさん» 嬉しいコメントありがとうございます！全体的にほんわかするストーリーを目指したつもりなのでそう言って頂けたら嬉しいです！これからもお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月16日 18時) (レス) id: 9553187897 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - あやなさん» 本作をお読み頂きありがとうございます。他の作品も読んで下さったとのこと、すごく嬉しいです！更新頻度はややマチマチですが、今後もお楽しみ頂けたらと思います！ (2020年5月16日 18時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - 心が温かくなります！更新頑張ってください！ (2020年5月16日 16時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2020年5月15日 23時
