見覚えのある光景とため息_3 ページ42
「あの、やっぱり――」
後ろ手にケースを隠したまま、なにやら固まっている様子のAに、
上半身をかがめるようにして顔を近づける降谷――、もとい、安室。
『あ、えっと、この近くでお仕事だったんですか?』
「…あ、それもありますけど、
ちょっとここに寄ろうと思いまして」
『あ…、ありがとうございます』
丁寧に頭を下げて、ニコリと微笑みながら店に誘導するA。
すっかり普段通りの接客だ。
その様子に、降谷は少し安堵した。
泣いた跡を残し、朝日を見にきていた彼女が、
祖父母や両親のことをポツリと口にしたあの日の彼女のことが、
やはり少し気になっていたのだ。
ただ一方で――。
「あの、やっぱり何かあったんじゃないですか?
以前、このお店に来ていた男性、…奥の部屋で相原さんを待っていた彼。
さっき、そこですれ違ったんですが…」
『あ…』
店内に他の客がいないことを確認した後で、
安室が問いかけた。
『えっと…』
Aが戸惑っていると、
「これ…、テナントの情報、ですか?」
『え?あ――』
床に落ちていた1枚の書類を拾い上げる安室。
この店を、いや、この土地を売って、
新しい物件に移転して欲しいと迫られているわけだが、
何枚もの候補物件の情報を渡されたところでそんなものに目を通す気は全くなく。
先ほど八神に突き返した際、
1枚落ちてしまったのだろう。
Aは観念したように口を開いた。
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white12(プロフ) - リンさん» すごく嬉しいコメントありがとうございます!励みになります。劇的なストーリー展開ではないので物足りなく感じるかもしれませんが、そのように感じて頂けたのは本当に嬉しいです。話はもう少し続きますがお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月23日 21時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
リン - こう、じわじわと距離が深まっていくお話は中々夢小説にないので、個人的にとても嬉しいです。内容も面白くって読んでいて飽きない……すごい。更新楽しみにしてます! (2020年5月23日 16時) (レス) id: 73f2c7a15b (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - アイスあるさん» 嬉しいコメントありがとうございます!全体的にほんわかするストーリーを目指したつもりなのでそう言って頂けたら嬉しいです!これからもお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月16日 18時) (レス) id: 9553187897 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - あやなさん» 本作をお読み頂きありがとうございます。他の作品も読んで下さったとのこと、すごく嬉しいです!更新頻度はややマチマチですが、今後もお楽しみ頂けたらと思います! (2020年5月16日 18時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - 心が温かくなります!更新頑張ってください! (2020年5月16日 16時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2020年5月15日 23時