堤無頭川の朝焼け_3 ページ37
『リセット出来る気がするんですよね。
こうやって朝日を見ると。』
「リセット、ですか」
『ほら。なんていうか、新しい1日が始まるんだなぁって、
本能的に理解できるっていうか』
安室の方を見て、
ニコリと笑うA。
安室の足元でジャージの裾に噛み付いて引っ張ろうとしていたハロは、
諦めたのか、川沿いに下りて走り始めた。
「ハロ!あまり遠くへ行くなよ!」
『あ、すみません。お散歩中、でしたよね』
「いえ、戻ってくるようには躾けているので大丈夫ですよ」
『ハロは、賢いんですね。』
「…あの、何かあったんですか?」
ニコリと笑うAに、安室が問いかける。
リセットだのと口にしたAがどこか気にかかったわけで。
泣いた痕を感じたこともそうだ。
『え?』
「失礼ですけど、その、泣いたような痕があるので」
小さく首を傾けて、心配そうな視線を向けてくる安室に、
Aはとっさに目尻に手を当てて視線を外した。
『…ハハッ。凄いですね。安室さんは。
ちゃんと冷やしたつもりなんですけど…』
「…」
『昨日の夜、ちょっと、
…祖父母の遺品を整理していて』
「遺品ですか?」
『店を改修する予定だって、お話しましたよね?
その準備というか、家の方も整理していて、それで――』
ゆっくりと高度を上げる朝日に照らされ、
オレンジ色に染まるAの頬。
少し切なげに細められた彼女の目を、
その横顔を、安室は口を閉ざして見つめていた。
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white12(プロフ) - リンさん» すごく嬉しいコメントありがとうございます!励みになります。劇的なストーリー展開ではないので物足りなく感じるかもしれませんが、そのように感じて頂けたのは本当に嬉しいです。話はもう少し続きますがお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月23日 21時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
リン - こう、じわじわと距離が深まっていくお話は中々夢小説にないので、個人的にとても嬉しいです。内容も面白くって読んでいて飽きない……すごい。更新楽しみにしてます! (2020年5月23日 16時) (レス) id: 73f2c7a15b (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - アイスあるさん» 嬉しいコメントありがとうございます!全体的にほんわかするストーリーを目指したつもりなのでそう言って頂けたら嬉しいです!これからもお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月16日 18時) (レス) id: 9553187897 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - あやなさん» 本作をお読み頂きありがとうございます。他の作品も読んで下さったとのこと、すごく嬉しいです!更新頻度はややマチマチですが、今後もお楽しみ頂けたらと思います! (2020年5月16日 18時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - 心が温かくなります!更新頑張ってください! (2020年5月16日 16時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2020年5月15日 23時