堤無頭川の朝焼け_2 ページ36
『お、おはようございます。安室さん』
「おはようございます。ずいぶんお早いんですね。」
『安室さんも、こんな早くから…お散歩、ですか？
あの子犬…』
Aがちらりとハロの方を見やると、
飼い主である安室が気になったのか、走り回っていたハロがテチテチと近づいてきた。
「ハロって言うんですよ。
今日はちょっと早く起きてしまったので、良い天気ですしね」
早く起きてしまったなどとさらりと笑う安室。
あと1時間ほどで、また警察庁に戻る予定だからなのだが。
そして、足元にすり寄ってきたハロをしゃがみこんで撫でた。
Aも同じくしゃがみこみ、上半身をハロに少し近づけたのだが――、
クゥン…と言いながら安室の方へ後ずさりをするハロ。
『あ、怖がらせちゃいましたね』
「すみません。少し人見知りみたいで…。」
『いえいえ。急に知らない人が近づいてきたらびっくりしますよね』
ニコリと笑うA。
それは、安室が書店で度々見た笑みだったが、
その目が少し赤いような気がした。
そして、Aは、ハロに近づいたことで至近距離に迫った安室の顔に今更ながら戸惑った様子で、すっと視線を外した。
「相原さんは、ここで何を？」
『あ…ここで、朝日を見るのが好きなんです』
「朝日？」
『ほら。もうすぐです』
ゆっくり立ち上がり、
先ほどと同じ方向をぼんやり見つめるA。
東の方向。
明るくなり始めた空にさらに光を注ぐように、
じわりとオレンジの光が顔を出し始めたところだった。
「綺麗、ですね」
Aと並ぶようにして立ち上がり、
眩しさで軽く手をかざした安室。
Aは朝日を見つめたまま、
“はい”と、小さく呟いた。
『朝日って、どんな時も必ず昇ってくるじゃないですか。
…もちろん、雨の日には見ることは出来ませんけど、
雲の上では同じように毎日昇ってくれていますよね』
「…」
『月並みな話、ですけど。』
自身の肩の少し下。
昇ってくれている、などと、まるで大事な人のように擬人化した言い方をしたAの顔を見やると、柔らかく笑いながら朝日をぼんやりと眺めている。
その目尻が赤く滲んでいるのは、やはり朝日だけのせいではなさそうだった。
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white12(プロフ) - リンさん» すごく嬉しいコメントありがとうございます！励みになります。劇的なストーリー展開ではないので物足りなく感じるかもしれませんが、そのように感じて頂けたのは本当に嬉しいです。話はもう少し続きますがお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月23日 21時) (
レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
リン - こう、じわじわと距離が深まっていくお話は中々夢小説にないので、個人的にとても嬉しいです。内容も面白くって読んでいて飽きない……すごい。更新楽しみにしてます！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 73f2c7a15b (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - アイスあるさん» 嬉しいコメントありがとうございます！全体的にほんわかするストーリーを目指したつもりなのでそう言って頂けたら嬉しいです！これからもお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月16日 18時) (レス) id: 9553187897 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - あやなさん» 本作をお読み頂きありがとうございます。他の作品も読んで下さったとのこと、すごく嬉しいです！更新頻度はややマチマチですが、今後もお楽しみ頂けたらと思います！ (2020年5月16日 18時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - 心が温かくなります！更新頑張ってください！ (2020年5月16日 16時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2020年5月15日 23時
