謎の言葉たち_2 ページ29
先日入荷した本の確認作業をしながら、
客の方をちらりと眺めるA。
落ち着いた色合いの、ブラウスとスカートをまとった1人の女性。
これまで何度か見たことのある客だ。
たいてい、古本の棚を眺めて、
そこにある専門書を買っていく。
(薬学とか、…生化学…だったっけ。
前に来た時はそんな感じの本を買ってくれた気がする。)
手を動かしつつ、
Aはぼんやりとそんなことを思い返していると、
背伸びをしつつ、本棚の上の方を目を細めながら手を伸ばし始めたその客に、
『…あの、もし良ければお取りしましょうか?』
と、近づいた。
「あ…す、すみません」
『いえ。本棚の上段は、ちょっと高いですもんね。
私も届かないんですよ』
フフッと笑いかけると、
客もまた眉を寄せて微笑んだ。
『――これで宜しいですか?』
「はい、ありがとうございます…!」
Aが踏み台を使って1冊の本を手に、
彼女に確認する。
脚立を使うほどは高い段ではなかったので、
踏み台にしたわけだ。
「…」
ぺこりと頭を下げ、
受け取った本をパラパラとめくり始める客の目は、真剣そのものだ。
(…すっごく真剣。
薬理学…かぁ。
学生さんにしては落ち着いてるし、お医者さんとか薬剤師さんなのかなぁ。)
どこかふわりとした雰囲気を感じるその客だが、
真剣な目で本を読む様(さま)に、
少し、こちらの背筋が伸びるような感覚を覚えた。
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white12(プロフ) - リンさん» すごく嬉しいコメントありがとうございます!励みになります。劇的なストーリー展開ではないので物足りなく感じるかもしれませんが、そのように感じて頂けたのは本当に嬉しいです。話はもう少し続きますがお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月23日 21時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
リン - こう、じわじわと距離が深まっていくお話は中々夢小説にないので、個人的にとても嬉しいです。内容も面白くって読んでいて飽きない……すごい。更新楽しみにしてます! (2020年5月23日 16時) (レス) id: 73f2c7a15b (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - アイスあるさん» 嬉しいコメントありがとうございます!全体的にほんわかするストーリーを目指したつもりなのでそう言って頂けたら嬉しいです!これからもお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月16日 18時) (レス) id: 9553187897 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - あやなさん» 本作をお読み頂きありがとうございます。他の作品も読んで下さったとのこと、すごく嬉しいです!更新頻度はややマチマチですが、今後もお楽しみ頂けたらと思います! (2020年5月16日 18時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - 心が温かくなります!更新頑張ってください! (2020年5月16日 16時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2020年5月15日 23時