紫煙の匂いと白い花_2 ページ26
そして、しばらくデスクワークに没頭していた降谷は、
軽く伸びをして屋上の扉を開いた。
今日は随分と良い天気だ。
休憩室に行くことも考えたが、外の空気が吸いたくなったのだ。
「…あれは――」
屋上の隅。
背を向けた1人の男の姿を目に捉え、
降谷は静かに近づいた。
「…笠間参事官。お疲れ様です。
警察庁にいらしてたんですね」
「…あぁ。降谷か。よく会うな」
笠間はゆっくりと振り返ると、
返事とともにふわりと紫煙を吐き出した。
タバコを吸っているようだ。
(…喫煙者だったのか。)
「異動になるようだな」
「え？」
「あの、諸伏という公安刑事と、――降谷、お前も。」
「…ご存知でしたか。」
「まぁ、風の噂でな」
景光と、そして、降谷にも告げられている異動の話。
降谷に関する話は、黒田から口頭で伝えられている程度だ。
その詳細はまだ、分からないのだが。
ゆっくり隣に並ぶように近づいた降谷を一瞥し、
笠間はもう一度紫煙を吐き出した。
「それと、…ノエスワーレ」
「え…」
「当然公安でも目をつけているんだろう」
まさに先ほど風見達と話したばかりの組織の名が、
笠間の口が出たことに軽く目を見開く降谷。
「ノエスワーレは、…30年ほど前に活動していた過激派組織と、
…やはり関係があるのでしょうか」
「…さぁな。」
降谷は、もしかすると何か知っているのではないかと気になっていたことを問いかけたつもりだったが、
それは一蹴された。
ノエスワーレ。
30年ほど前、
レース・ノワエ (res novae)、
ラテン語で革命を意味する言葉のアナグラムをとった、革新派による、ある過激派組織が存在した。
政府や警察組織のあり方に反感を抱き、
日本の未来を案じ、対抗しようと活動していた組織だ。
その過激な手法により多くの犯罪的行為が行われ、
当時の警察組織の捜査によって、組織は既に壊滅していた。それは28年前のことだ。
その情報は、
公安が関わった過去の事案として、
当然、降谷の頭にも入っていた。
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white12(プロフ) - リンさん» すごく嬉しいコメントありがとうございます！励みになります。劇的なストーリー展開ではないので物足りなく感じるかもしれませんが、そのように感じて頂けたのは本当に嬉しいです。話はもう少し続きますがお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月23日 21時) (
レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
リン - こう、じわじわと距離が深まっていくお話は中々夢小説にないので、個人的にとても嬉しいです。内容も面白くって読んでいて飽きない……すごい。更新楽しみにしてます！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 73f2c7a15b (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - アイスあるさん» 嬉しいコメントありがとうございます！全体的にほんわかするストーリーを目指したつもりなのでそう言って頂けたら嬉しいです！これからもお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月16日 18時) (レス) id: 9553187897 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - あやなさん» 本作をお読み頂きありがとうございます。他の作品も読んで下さったとのこと、すごく嬉しいです！更新頻度はややマチマチですが、今後もお楽しみ頂けたらと思います！ (2020年5月16日 18時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - 心が温かくなります！更新頑張ってください！ (2020年5月16日 16時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2020年5月15日 23時
