Words (2)【名探偵コナン】

穏やかな夕暮れとおまじない_6 ページ23

『じゃあ、気をつけて帰ってね。
本を買いに来るだけじゃなくて、いつでも来て良いから。
ほら、息抜きに本読みに来るのも大歓迎よ。
…商品を立ち読みするのは禁止だけどね？』

「…ありがとうございます」

『うん。あ、そのおまんじゅうも早めに食べてね？
賞味期限は――』

「2日でしょ？分かってますよ。
前にも頂いたこと、何度かあるので」


あれこれと気にかかるのか、色々と言葉を零してくるAに、
裏口で立ち止まったままの鈴宮は、少し伏せ目がちに口を閉ざした。

外はもう日が落ちて薄暗くなり始めていた。


『鈴宮くん？どうかした？』

「ありがとうございます。」


ふっと顔を上げてAにお礼を告げる鈴宮。
その目はどこか真剣なもので、
少し顔つきが違うようだ。


『別に、塩まんじゅうくらい大したことじゃ――』

「相原さんって、なんていうか…
俺の欲しい言葉をくれますよね。」

『は？』

「どこかの偉人の名言は、時々難しくて良く分かりませんけど…」

『…』

どこかバカにされたようで少しだけ不満げな顔になるA。


「物怖じしないで言いたいことを伝えられるのは羨ましい…って、
なんていうか、…嬉しかった、ので。」


最後は小さな声で少し気恥ずかしげにそう口にした鈴宮。
やはり恥ずかしくなったのか視線を外して。
”言いたいことを伝えられるのは――”ということを褒められたとも言える相手に、
ちゃんとお礼を伝えようとしたようだ。


Aはしばし考えるような仕草を見せた後、


『私は、ただ思ったことを言っただけだけど…、
それを、鈴宮くんが嬉しいと思ってくれたなら、私も嬉しいわ。』

と、言葉を選ぶようにして静かに言った。

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