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穏やかな夕暮れとおまじない_2 ページ19

『…そっかぁ。』


緑茶の入った湯飲みを1口飲んだ後、
鈴宮は、面接がなかなか上手くいかないことをポツリポツリと話し始めた。


「面接で、伝えたいこととか…、
考え…とか、色々練習して、ちゃんと頭の中で纏まってるはずなんですけど、
…上手く話せているような気もするんですけど…なんていうか…」

Aからは軽く視線を外し、
伏せ目がちにそう口にする鈴宮。


「すみません。急に店に来て、こんな愚痴…」

『良いの良いの。鈴宮くんは本買いに来てくれただけでしょ。
私が強引にお茶に誘ったんだし。』

「…友達も色々頑張ってて、たまには話すんですけど、
まぁ、…向こうも同じ立場だし、…ライバルの場合もあるので…」

『そう…よね』


前に彼女だか気になる女の子がいた様子だったが、
鈴宮の様子から、
友人を含めて愚痴を吐き出せる相手はあまりいないのかもしれないなと、
Aはおせっかいな考えながらにぼんやりと思った。


「…愚痴を言っても仕方ないんですけどね。頑張るしか、ないので」

『…確かにそうかもしれないけど、でも悪いことじゃないでしょ?』

「え?」

『鈴宮くん、言葉を選んで話してる…でしょ。
そうやって話しながら、
考えを整理しているように見えるから。
って難しいこと言いたいんじゃなくて、
そういうことって吐き出した方が良いに決まってるわよ。
溜め込んで良いことなんて1つも無いし、ね。』

「…」


Aの言葉に、
鈴宮は口元を小さく歪め、目を細めて湯飲みに口をつけた。


『…私、この本屋を継ぐ前は小さな企業で事務職をしてたんだけど、
大きな企業の面接に行った経験もないし、
きっと鈴宮くんの大変さは、…分からないんだけどね』

“ごめんね”

と、困ったように笑うA。

鈴宮は、何も言わず、とんでもないというようにフルフルと頭を振った。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - リンさん» すごく嬉しいコメントありがとうございます!励みになります。劇的なストーリー展開ではないので物足りなく感じるかもしれませんが、そのように感じて頂けたのは本当に嬉しいです。話はもう少し続きますがお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月23日 21時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
リン - こう、じわじわと距離が深まっていくお話は中々夢小説にないので、個人的にとても嬉しいです。内容も面白くって読んでいて飽きない……すごい。更新楽しみにしてます! (2020年5月23日 16時) (レス) id: 73f2c7a15b (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - アイスあるさん» 嬉しいコメントありがとうございます!全体的にほんわかするストーリーを目指したつもりなのでそう言って頂けたら嬉しいです!これからもお付き合い頂けたら幸いです。 (2020年5月16日 18時) (レス) id: 9553187897 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - あやなさん» 本作をお読み頂きありがとうございます。他の作品も読んで下さったとのこと、すごく嬉しいです!更新頻度はややマチマチですが、今後もお楽しみ頂けたらと思います! (2020年5月16日 18時) (レス) id: 8691b63699 (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - 心が温かくなります!更新頑張ってください! (2020年5月16日 16時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2020年5月15日 23時

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