4869 (4)【名探偵コナン】

黒の言葉と本当の名前_4 ページ8

「どんな任務でも、ターゲットは確実に1発で仕留める…。
アンタの腕がジンに買われてたのは、正直気に食わなかった。
アタイやコルンより、…重要な任務を任されるようになっていったアンタは、
正直イラついて仕方なかったよ」

「…」

「でもそれがNOCだったってんなら、イラつくってだけじゃないね。
…殺 したって気が収まるもんじゃない」

「…NOCだNOCだと、ずいぶん俺を疑っていたようだな」


“疑っていた”
現在進行形ではなく、過去形で言葉にした景光。

知っていることを話すなどというキャンティの取引が遂行されることは無いことは明らかだ。

降谷の言っていたように、
刑務所に入りしばらくが経ち、
“スコッチ”への執着が再燃したということだろうか。

やはりアイツはNOCだったんだろうと。



「気に食わないんだよ…。アンタもバーボンも。
…アンタは特に。…任務で人を殺した数はアタイと変わらないんじゃないか…？」

「…」

「なのに、アンタはそうやって演技をしながら、この透明な板の外にいる。
…日本の警察だかFBIだか知らないけどね。…アタイらと何が違うんだい」


――飲まれてはいけない。
この手の話で感情が揺らぐほど、景光は未熟じゃない。
そもそもそんな甘い人間なら、
組織での任務を遂行することなど出来はしなかったのだから。


この国を守るため。
その正義を遂行するための、
――犠牲だ。

それは、文字通りの”犠牲”でもあり、
遂行する側が失わざるを得なかった何らかの感情でもあった。



「…何を勘違いしているのか知らないが、話は…それだけか」

「…チッ」


ギロリ。
文字通り、殺気を滲ませた目で睨まれ、
キャンティは苦々しく舌打ちをこぼした。


“そろそろ時間だ”


担当警官の声にもう一度舌打ちをこぼし、
椅子から立ち上がるキャンティは、景光に視線を向けることなく面会室を出て行った。


椅子に座ったまま、
景光は小さく下唇を噛み締めていた。

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