気になってしまうので_2 ページ9
――3時間後。
被害者宅で話を聞いた後、
1年前、そして半年前、3年前の3件の事件で、
弁護士を名乗る男にお金を渡したというそれぞれの場所を訪れ、同じように聞き込みを行なっていたA。
一ノ瀬が調べているだろう防犯カメラの位置も確認し、
警視庁へと車を走らせていたAは、
米花町の方へとハンドルを切った。
『…まぁ、いないだろうけど』
訪れたのは、
2日前。
一緒に外に出ようとするハロを制しながら、部屋を出た彼のマンションだ。
ややこじんまりとしたそのマンションの、彼の部屋に足を運ぶA。
先ほどまでは、沈む陽によってわずかに空が赤かったものの、
もうすっかり暮れてしまったようだ。
辺りが暗くなる中で、
その部屋のインターフォンを鳴らすも
やはり返事はなく、Aがポケットから出したメモをポストに入れようとしたとき、
「…え…A…、春宮…さん？」
と横から聞こえた声。
そこにいたのは階段を上がってきた降谷…、安室だった。
連絡先など知らない。
ただ、主がいなかったことで何も言わずに部屋を出てしまったことが心残りだったAは、
メモを残す形で、一応お礼を伝えておこうと思ったのだ。
急に身体の異様な重さを感じ、ぐったりとしていたあの日。
そして、すっかり全快した今では、
休ませて貰ったことは、素直に有り難かったのだから。
『…お疲れ様』
「…もう、大丈夫みたいですね。良かったです。
それで…、僕に何か、用でしたか？」
Aに近づく”安室”は、
小さく小首を傾げている。
『ありがと』
「…え？」
『休ませて貰って、助かったわ。それに、朝食も。ごちそうさま。
…それを言いにきただけだから』
自身の目を見つめてお礼を告げた後、
用事はそれだけだと言うように、その場を去ろうとするA。
すれ違いざまに、安室はとっさに口を開いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 126人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
white12(プロフ) - 番外編は、続編みたくなりそうな予感ですが、引き続きお楽しみ頂けたら嬉しく思います！ (2020年2月19日 17時) (
レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» いつも私の作品を読んでくださりありがとうございます！なーこさんからの嬉しいコメントにいつも励まされております。長々と引っ張ってしまった感はありますが、葛藤もあり、それになかなか素直になれない2人のもどかしい感じを分かって頂けて嬉しいです。 (2020年2月19日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*徐々に入り組んでいく二人の関係の糸が解けるのか、切れてしまうのか、お互い1歩進んで戻っての繰り返しがもどかしくて良いですね...笑。あと部下の一ノ瀬くん...可愛い...。5ヶ月に渡る長期連載お疲れ様です！番外編も楽しみにしてます*。 (2020年2月18日 23時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - ますさん» そう言って頂けて本当に嬉しいです！ここまでお読み頂きありがとうございました。宜しければ、引き続き更新予定のエピローグもお楽しみくださいませ。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
ます - 更新楽しみに毎日過ごしてました。笑素敵な作品をありがとうございました！ (2020年2月17日 2時) (レス) id: 5f95b1313e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：white12
| 作成日時：2020年2月7日 19時
