SNOW DROP II (9)【名探偵コナン/警察学校組】

真夜中の本音_7 ページ39

「さっきも言っただろ。
Aが近くにいることで、僕が危険な目に遭うことはない。
…たとえAが狙われるようなことになっても、
…Aなら、そう簡単に危険な状況になったり、しないだろ？

…って言っても、危なっかしすぎるところは変わってないようだから、
ちょっと不安…にも思えるんだが…」


『…自分の身は自分で守るから、って、私もさっき言ったでしょ。
…悪いけど、守ってもらうつもりは更々ないから。でも…』

「…ん？」

『良いの？』

「え…」

『一緒にいて、良いの？
…いつか、っていう話じゃないの…？』


見上げるように降谷を見つめるAの目は、少し潤んでいた。
それは、不安や苦しさからじゃない、
感情が溢れた故の、涙だった。


「…いつか、と思っていたんだけどな。」

『…えっと…』

「でも、傍にいることは、…問題ないだろ。
それに、離れた理由が2人とも同じだった。
僕自身は今はそれが解決できると思ってる。
君自身の理由も、…さっき僕が答えただろ。今なら守れるって。…お互いを。
なら、それらが解消されたと考えれば、一緒にいることに問題はないんじゃないのか？」

『…』

「もう、既に接点は充分できていますしね？
…春宮刑事とは」


抱きしめられながら見上げた彼の顔は、
少しいたずらっ子のような表情で。
“安室”との接点ということを再び強調する降谷。
安心させようとでもしているのか。

同じことを考えていた訳だが、
Aは不機嫌そうに視線を逸らした。


『やっぱり…、ややこしいわね。貴方。
…それに、相変わらず理屈っぽいっていうか…。貴方も、…変わってないわよ。』


安室の顔を使い分ける彼に対する不満。
そして、理屈っぽいことに対しての不満。

不機嫌そうではあるが、
“変わっていない”というAの言葉は、
とても優しいものだった。

汚れた、などと口にした降谷への、
無意識の配慮なのだろうか。


「…」

『それに、…やっぱり、…ちょっと、面倒くさいわ。貴方』

「…でも、“面倒くさい同期”が良い、んじゃなかったのか？」


Aの言葉に、自身の身体からふわりと暖かい何かを感じた降谷は、
直後、失礼なセリフを投げかけられ、一瞬口を噤んだものの、
すぐに元の調子で反論した。


それは、あの議員会館での事件の後。
警察病院での2人の会話のことだった。

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